今日は参議院議員選挙でした。政権交代への大きな地殻変動が起きたかのような東京都議会議員選挙が行われたのが、ほんの一年前のことです(「うねり」)。半世紀以上にわたって自民党政権を支持してきた保守的なこの国の国民の決断の意味は非常に大きなものです。余程のことがなければ、何もしなくても、参議院議員選挙は政権与党民主党の圧勝のはずでした。国民が変化を選択し、自民党は敗戦の総括もなく、対抗軸がまったくなかったからです。しかし、残念ながら、その余程のことが起きてしまいました。鳩山・小沢の問題は刺し違え退陣で何とかしのいだものの、その後に再び失敗しました。まだ、民主党の敗戦と決まったわけではありませんが、私なりに思うところを書いてみたいと思います。
菅首相が消費税を争点にしようとしたのは、その真意はともかく、悪いことではなかったと思います。そして、自民党の主張に乗っていくという戦術も悪くありません。首位企業が二番手企業の得意分野・製品を模倣し二番手企業を追い落とすマーケティングの「ミート戦略」そのものだからです(誰かアドバイスした人がいるのかもしれません)。
事実、最初に消費税について語った時は、賛否が真っ二つでした。これは評判が悪い税制の話としては異例なことです。しかし、その後、内閣支持率や民主党の支持率が急落していったのは、消費税の話が唐突過ぎたこと、公約に反すること、その後の支持率の急落を受けて主張がぶれたこと、などいろいろ原因は言われていますが、いずれも主因ではないような気がします。
少子高齢社会になると、高齢者に受けのいい政策が通るようになると指摘されています。高齢者の絶対数が増えることはもちろんですが、投票率も年代があがるほど高くなることから、実際の年齢構成以上の影響力を持つからです。ですから、本当は地方と都市というよりも、世代間競合が起きているわけですが、若い世代の無関心と、自分たちに無関係な政策ばかりが通ることからますます無関心になるという悪循環を招いているように思います。
閑話休題。つまり、高齢者の主張が大きく政策を左右するわけですから、所得が少ない高齢者にとって消費税は明らかに望ましくない政策なわけです。冷静に客観的に考えることが出来る時なら、これだけ財政赤字が拡大したら、財政再建のために消費税率アップもやむなしと思っていても、いざ選挙が公示され、各党(というかマスコミ)がこぞって表面的な「消費税」ネタを論じると、次第に、大局観ではなく、個々のエゴが出てくるのは当然です。
しかし、確信犯的に消費税を争点にあげたはずの菅さんがここで取るべきは、腰砕けになることではなかったはずです。逆にもっと声高に消費税率アップの必要性を断定的に言い切るべきなのに、思わぬ(思わぬだったところが戦略性のなさです)支持率急落にうろたえて、主張を後退させてしまったことが間違いでした。
ただ、ぶれずに主張を貫けば支持率は下がらなかったかと言えば、そんなことはないでしょう。それだけではなく、高齢者に対して、「自分たちの子や、孫にツケを払わせるのか」と逆に責任を問いかけるによって、はじめてこの確信犯的な主張が戦略性を持ったのだと思います。これは政党間で言い争いをすべきテーマではなく、はっきり国民に踏み絵を踏ませるべきでした。
高齢者は所得は少ないですが、ストックは中高年・若年層よりはるかに多く、決して貧しいわけではありません。そして、投票率にも表れているように、政治的責任感も強いです。この世代に、正面切って、「子や孫にツケを払わせるのか」を責任を問えば、大勝利とはいかないまでも、少なくとも敗北することはなかったはずです。
今回民主党が敗北すれば、また日本の政治は不安定化し、停滞が予想されます。経済再生、地方分権、財政再建、高齢者対策、少子化対策など、二律背反する重要なかじ取りが求められる難しい時期であり、かつての55年体制の時に自民党にお灸をすえていたような時期ではないと思うんですけどね。
どういう展開になるか分かりませんが、この敗戦をきっかけに民主党内のお家騒動が始まったら、本当に国民に愛想を尽かされます。その時は自民党も含めて、一気にガラガラ、ポンをして、解散総選挙でしょうね。
今日のジョグ
小雨の中でのジョグ。椚田から北野街道に出て、片倉あたりから北上し、南大通り、甲州街道と経て戻る途中、最後の頃は結構な雨が降ってきました。
12.7km 1時間26分04秒