正月はニューイヤー駅伝、箱根駅伝と駅伝続きで、ついつい駅伝にはまってしまい、自分が学童野球チームのコーチだということを忘れてしまいます。そこで、今日は久々に野球の話題です。
昨日、長嶋茂雄がテレビ番組に出演していました。というより、長嶋茂雄の特番でした。脳梗塞で倒れて以来、プロ野球で観戦する姿や、始球式など式典などで姿を見るだけだったので、こうして普通に話し、笑う姿を見るのは久しぶりです。娘の長嶋三奈さんがずっと隣に寄り添っていたこともあるのでしょうが、とてもリラックスして、倒れる前に近い表情でした。
番組の中では、長嶋さんのリハビリの様子も流されましたが、その内容は80歳近い老人のリハビリとは到底思えない、アスリートのようなものでした。娘の三奈さんにも「これからそんなに鍛えて、何をしようというの!」と突っ込まれていたくらいです。しかし、それだけの必死のリハビリ(トレーニング)をしていたからこそ、こうしてテレビ出演するくらい、回復してきたのでしょうね。番組の中で、倒れた直後の症状は極めて重かったことが明かされましたが、回復してからも、なかなか公の場で直接話したりしなかったことからも、それは容易に想像がつきます。
巨人の監督に復帰した時に、「ファンの人たちが待っているから」と語ったエピソードが娘の三奈さんから明かされましたが、脳梗塞からの復帰も、長嶋茂雄を待っている人に、無様な姿は見せられないと、公の場に姿を見せることを自粛し、それこそアスリートのような懸命なリハビリを続けたのではないでしょうか。そして、遂に、失われた機能を完全に取り戻したわけではないものの、ファンが長嶋茂雄が帰ってきたと思えるほどの回復を果たしたからこそ、こうしてテレビ番組に出演したのでしょうね。本当に頭が下がる思いです。
そして、もう一人のプロ野球のスター王貞治さんは、1月1日から日経新聞の「私の履歴書」という1ヶ月連載のコラムを書いています。日本経済新聞というくらいですから、このコラムも企業人が書くことが多いのですが、創業者はともかく、普通のサラリーマン社長の場合、自分だけの力で成し遂げたことなどそうそうあるはずもなく、ただの自慢話に聞こえることも結構多いのですが、アスリートの場合、正真正銘自分の身体一つで成し遂げたことなので、サラリーマン社長とはその重みが違います。
まだ3回目なので、プロ野球での活躍などに入る前ですが、既にその人柄が十分に現れています。王さんのお父さんの仕福さんは、中国から日本に来て中華料理屋を営みますが、日本に生かされているという感謝の気持ちで懸命に働き、閉店した後でもお客さんが来れば、また火を起こして、注文に応えたそうです。そんな姿勢もあって、まだ外国人への差別があった時代に、王さんは差別をまったく感じずに育ったそうです。
そんな親の姿を見て育ったことが、王さんのファンを大切にする姿勢につながっているのでしょう。王さんがファンレターすべてに返事を書き、サインを求める人にはすべて応えるのは有名ですが、ホームラン世界記録で日本中がフィーバーしていた時期にも、家の前で待つ子どもたちにすべてサインをした話が書かれています。もちろんファンを大切にする気持ちが一番でしょうが、自分で言っているように、こうと決めたことはやり通さないと気が済まない頑固さが、そうさせたのでしょうね。そして、この頑固さが、あれだけのことを成し遂げた最大の力だったのでしょうね。
このONの二人は、個性はまったく違いますが、戦後の日本プロ野球の最大のスターです。そして、未だにこの二人を超えるスターが出てきていないように思います。それは、日本が経済成長に向けて邁進していた時代の勢いもあるでしょうが、この二人の力の源泉が「ファンに喜んでもらう」ということにあったこととも関係があるように思います。
日本は豊かになり、今のプロ野球選手は、当時の通貨価値と比較しても、ONを上回る年棒をもらう選手はたくさんいます。しかし、黒字の球団は多くはありません。つまり、ファンからもらうお金以上に、選手たちは年棒をもらっているということです。その一方で、どれだけファンを大事にしているかというと、とてもONレベルとは言えないと思います。
つまり、今の選手は、ファンを大事にするというよりは、自分の市場価値がどれくらいなのかの方に関心が行っているように思います。どこの誰々がいくらもらっているのに、同じ成績をあげた自分がこの年棒は納得がいかないというように、他の選手との比較が主で、ファンにどのようの喜んでもらえるかということになっていないのではないかと思います。
もちろん、時代が変わっているので、何でもかんでもONの時代と同じにしなければいけないとは思いませんが、少なくとも戦後最大のヒローだったONと同じくらいのファンサービスができなければ、到底、ONと同じ土俵になど立てません。今のプロ野球人気の凋落を見ると、そんなことを考えずにはいられません。選手を使い捨てではなく、もっと活かすような機構側の改革も必要ですが、選手自身の意識改革も必要だと思います。もっとONを楽にしてあげるような選手が出てきてほしいと思います。投手はそこそこ人材が出てきますが、やはり野球の華である長距離打者はどうしても必要ですよね。
新年早々、ONがテレビ、新聞に登場をしたことを受けて、感じたことです。
今日のジョグ
今日も走りました。これで元旦以来、4日連続です。我ながら久しぶりに頑張っています。
13.6km 1時間21分24秒