八王子市散田町在住のスポーツ好き親父の戯言!

八王子市の学童野球チーム散田ドラゴンズ元管理人(2007年3月~2016年2月)のブログです。

礼儀と合理性。

2015年01月10日 22時08分34秒 | プロ野球・高校野球

オフシーズンの現在、プロ野球選手がバラエティ番組に出る機会も増えます。今日もそうした番組があり、その中で、広島の前田健太がPL学園時代のことをこのように語っていました。

 

「先輩はこわいです。三年生は神、二年生は平民、一年生は奴隷ですから」

「一年生は、ジュースもお菓子も禁止です。仕送りでお菓子を送ってもらって、夜中の三時にふとんをかぶって、音がしないようにポテトチップを舌の上で一度湿らせてから食べてました」

 

バラエティ番組ですから、みんな笑っていましたが、今のPL学園の実情を考えると、実は全然笑えない話です。PL学園は部員の暴力など度重なる不祥事で、監督不在となり、新入部員の受け入れ中止を発表し、栄光の歴史を持つ部の存続が危ぶまれる事態だからです。

 

清原和博(西武)、桑田真澄(巨人)をはじめ、古いところでは加藤英司(阪急)、福島久晃(大洋)、新井宏昌(近鉄)、金森栄治(西武)、尾花高夫(ヤクルト)、金石昭人(広島)、木戸克彦(阪神)、西田真司(広島)、小早川毅彦(広島)、吉村禎章(巨人)、立浪和義(中日)、片岡篤史(日本ハム)、野村弘樹(横浜)、橋本清(巨人)、宮本慎也(ヤクルト)、今岡誠(阪神)、松井稼頭央(西武)、サブロー(ロッテ)、福留孝介(中日)、今江敏晃(ロッテ)、前田健太(広島)と、錚々たる顔ぶれのプロ野球選手を輩出しています。

 

こうした事実をもって、付き人制度をはじめとする厳しい上下関係を容認する空気が長らく続いたのだと思います。こうした厳しい上下関係が、強いチームを作ったという因果関係が一見成り立つように見えますが、これはあくまで結果論であって、因果関係ではありません。不合理な上下関係がなければ、もっと強くなっていた可能性もあるからです。

 

でなければ、PL学園で1年生の夏から大活躍した桑田さんが、あれほど体罰に反対する発言や活動をするはずがありません。表舞台では大変な活躍をしながら、陰ではいろんな苦労があったのだろうと思います。

 

翻って、現在、日本経済新聞のコラム「私の履歴書」を連載している王貞治氏も、1年生からレギュラーを獲得し、清原・桑田と同じような存在でしたが、当時の早稲田実業は、グランドで水を飲むなということもない合理的なチームで、何の苦労もなかったようです。王さんは私の親ほどの年ですが、私が若い頃でも、「水を飲むな」は一般的だったことを考えると、本当に進んだチームだったのだと思います。そして、それで弱かったわけではなく、紫紺の優勝旗が箱根の山を越えたのは初めてだったわけですから、むしろ、合理的なチームの方が強いということが言えるのではないでしょうか。

 

年長者を敬う礼儀は当然必要です。しかし、スポーツでも、仕事でも、実力が優先することは仕方がないことです。そこは、お互いにそのことを理解し、後輩は人間関係においては礼儀を大事にしつつ、スポーツにおいては先輩であっても実力を認めるという、そうした器を磨くことが、本当のプライドであると思います。

 

そして、指導者がそうしたことを本当は指導しなければいけないのだろうと思いますね。

 

 

 

コメント
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