津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■正月の男・漱石の「拙」

2025-01-05 14:22:26 | ご挨拶

 夏目漱石の句に  正月の男といはれ拙に処す  という句があるのを知った。
漱石は一月五日が誕生日、漱石は「拙」という言葉が好きなようだが、あの有名な  木瓜咲くや漱石拙を守るべく  という句が思い出される。
「拙」とは「つたない、まずい」「自分や自分に関することを謙遜していう語」と説明されるが、漱石は決して謙遜をしているようではない。
菫ほどな小さき人に生まれたし  の句があるように、「」や「」に自分の生きる理想を表しているのだろう。

 「正月の男」とは「おめでたい男」との揶揄がこめられている。「拙」という言葉はこれに応じていて、「世渡り下手だが愚直に生きていく」という一貫した姿勢が貫かれている。

 私は正月十九日の生まれ、松もとれて「正月の男」ではないが、漱石のような謙遜の「拙」ではなく、八十余年まさしく世渡り下手でただ愚直に生きてきた。
それ故に、これらの漱石の句が大好きである。
バルコニーにはプランターに「菫」を育てているが、そろそろ紫色の「小さな」花を見せてくれる頃である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■文字散策‐1「ゟ=より」

2025-01-05 09:29:02 | ご挨拶

 私がIMEパットでこの文字「ゟ」を書き込んでも、形が悪いのか読み取ってくれない。
「より」の合字だが「環境依存文字」として「より」と打ち込めば表記される。カタカナでは「」という文字が存在するが、私はこちらの文字には一度もであったことがない。
「より」の合字だから第一画は横に一と書くのだろうとずっと思いこんでいたが、あるとき下記の文字に出会いそれが間違いであることを知った。

                 
 この文字は、細川三斎の養女で宇土細川家の初代・細川行孝室・源立院が叔父である加来某に宛てた書状に書かれているものである。
「ゟ」の文字が一筆書きされている。明らかに第一画は縦方向に入っている。
通常は下方で〇状に書いて筆を止め、第三画として横一を書くのだろうが、源立院殿はこれを一気に一筆書きされた。
こういう文字に出会うと、文字の筆法などに出会えて、私の常識が打ち砕かれてしまうが、それはそれで却ってありがたい。

 源立院は細川三齋養女、実・加来佐左衛門女、初名せい、佐舞、三(忠興号三斎の一字を遣わさる)
初代・行孝室、二代有孝を含む三男四女を為している。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする