これは肥後独特の文字である。他地域での使用例は無いのではないか。
笹原宏之著「方言漢字」のなかに「地域文字」と紹介されている。「国字〆に手偏を加えた」と表現されているが、実際にはこのようなものである。
きれいな筆跡だから保存しているのだが、その出所を記録しておらずこれが迂闊であった。
熊本独特の文字だから「環境依存文字」としても取り扱いが為されておらず、「■=しめ・手偏に〆」などと表記してお茶を濁している。
「締」の文字があてられることがあるが、「取り締まる」という意味合いとしては間違いないのだろう。
■が何故「手偏」なのかは謎の中にある。手部(しゅぶ)は、手を使った動作に関する字が多く、少々手荒い「取り締まり」が伺えないだろうか。
「熊本の近世用語事典」をみると、「見ヶ■役=みかじめやく」、「根■役=ねしめやく」、「堅■=かたしめ」(誓約書)などの用例が見える。