出版のための原稿を造り上げるにも、今回はこれまでに経験したことのない壁がありました。
現在人類は、キリスト教には「カトリック(旧教)とプロテスタント(新教)だけがある」と信じています。
中学・高校の学校教科書も、歴史学者が書く専門書も、そうなっている。
そういう常識が人類世界に出来上がっています。
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ところが鹿嶋が本で伝えようとしていたのは、もう一つの大きな流れがあって、その会派が実はキリスト教の本家本元だということでした。
のみならず、その会派の人々は、実は現在われわれがエンジョイしている近代社会の諸制度をあらかた造り上げてくれてきている。
民主制も、政教分離も、個人の精神生活の自由・言論の自由も、みなこの会派の人々が流血の活動によって実現してくれている。
それを米国の一般人民も、欧州諸国、日本、台湾、韓国などの人民もいま享受している。
~そういうことを伝えようとしたのです。
だがその仕事を手がけようとして、鹿嶋は考えました~。
こういう人類の常識を越えた超常識のことを、しかもキリスト教世界のことを、一介の日本人が述べても人々は信用しないだろうな。
日本人だけでなく外国人も信用しないだろうな。
これは本場の米国人がこの流れを簡明に示している書物を邦訳して出すしかないな。
本場の人が書いたものなら、日本人もまあ、鹿嶋春平太が書くよりは信用するだろう。
~そう考えた鹿嶋は、これまで収集してきた英文資料の箱をひっくり返して調べました。
そして小さな冊子を見つけ出した。
それはミードという米国のキリスト教ジャーナリストが事態を概説した小さな本でした。
よし、これを邦訳して出版しよう!
ジャーナリストの著者であるが故に理論的な説明が不足しているところは、自分が<訳者解説>で補おう。
鹿嶋はそう決断しました。
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