Sightsong

自縄自縛日記

『けーし風』沖縄戦教育特集、これから行きたいところ

2007-10-22 23:40:33 | 沖縄
『けーし風』(2007/9、新沖縄フォーラム刊行会議)を読んだ。11月に閉店する神保町の書肆アクセスではもう入荷していないようで、新宿の模索舎で調達した。

特集は「岐路に立つ沖縄戦教育」であり、教師、岩波書店(岡本厚氏)、「沖縄戦首都圏の会」、「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」、新崎盛暉氏など、それぞれの立場から発言をしている。当然、問題意識はかなり共通しているわけで、いまの争点が良くまとまった特集だと思う。

改めて感じたことは、教育は世代交代のプロセスであるということだ。地域や親族というつながりが消えているから、目に見えない「記憶」、「体験」、「意識」を敢えて持ち出さざるを得ない状況があるのだろう。

教師の対談では、こんなエピソードが紹介されている。「八重山で「ひめゆりの乙女たち展」を見学していた生徒が、死体の写真を見て、思わず「気持ち悪い」と言ってしまった。前の世代なら、写真一枚で充分に悲惨さが伝わり、肉親の痛みとして感じることができた。いまの子たちは肉親の痛みではなく、少し遠い出来事となっている。だから、平和教育の形も変えなければならない。」

また、過去の沖縄戦の歴史を、もっと広い歴史の文脈のなかで、少なくとも現代のアフガンやイラク、いじめ問題などと同じ根を持っていることに結びつけなければならないとの指摘がなされていた。自分にとっての問題の理解という意識では当然だが、結びつける方向性にあえて働きかけるとは、普段考えない教育者としての視点ではある。

新崎盛暉氏は、映画『ガイサンシーとその姉妹たち』にあわせたトークショーの会場で、若者が「日本軍の強制連行という事実がないのに、慰安婦の証言ばかりを垂れ流すのはいかがなものか」と質問したことを書いている。新崎氏はそれについて、映画のメッセージが若者の心に届くことはないだろうと、諦めの気持ちを抱いているようだ。しかし、私はそうした「囲い込み」は避けるべきだと思った。

金東柱氏による済州島のルポは興味深い。マージナルな場所にあって、軍備の流れに抗いつつ平和のあり方を考える状況については、今後つっこんで調べてみたい。



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これから足を運びたいところ。

●『けーし風』読者のつどい(関東)
2007/10/27(土)14:00~@千代田区ふれあい会館

今回はテーマが絞られているので、議論が発散しない。
→ 報告

●沖縄戦首都圏の会・連続講座第3回「沖縄戦の真実と歪曲」大城将保氏
2007/10/25(木)19:00~@岩波セミナールーム →リンク

スライドショーもあるとのこと。大城氏の想いをききたい。
→ 報告

●一坪反戦地主会関東ブロック「今こそ沖縄の基地強化をとめよう!」
2007/11/28(水)19:00~@全水道会館(水道橋) →リンク

安次富浩氏や山内徳信議員の発言がある。高江のヴィデオ上映も予定とのこと。
→ 報告(1)(2)

●勅使河原宏の映画『十二人の写真家』
2007/10/26まで、ポレポレ東中野でレイトショー →リンク

勅使河原がこんな映画を撮っていたとは知らなかった。木村伊兵衛や大竹省二の撮影の様子を見たい。
→ 報告

●東松照明の写真展『Tokyo曼荼羅』
2007/10/27~12/16@東京都写真美術館 →リンク

長崎や沖縄などの曼荼羅シリーズの最後。

●『おきなわ時間美術館』
2007/10/26~11/4@那覇の栄町市場にある古民家 →リンク

行きたいが絶対に行けない。音楽やヴィデオやハプニングやなんかがあるようだ。
→ やはり行けなかった

●『無限大の宇宙―埴谷雄高『死霊』展』
~11/25@神奈川近代文学館 →リンク

『死霊』を読みなおすところからはじめたい。
→ 行けなかった