Sightsong

自縄自縛日記

札幌の書肆吉成

2009-12-03 23:38:23 | 北海道

今日、所用で札幌に行ってきた。折角なので、店舗をオープンしたばかりの書肆吉成まで足を運んだ。ミニコミ誌『アフンルパ通信』を発行しているところであり、以前、ジョナス・メカスに関する記事を読みたくてバックナンバーを取り寄せたことがある。

札幌駅の北、元町駅と北二十四条駅との間あたりにある。今朝雪が少し積もったとかで、街路樹の下にはまだじゃりじゃりになった雪が残っていた。歩くのは好きなタチだが、かなり寒かった。

古本の品揃えはかなり良かった。このような、志のある古本屋に入ると、足が棒のようになる。何冊もあっ欲しいという本があったが、ここは堪えて(笑)、2冊をわがものにした。

ついでに、『アフンルパ通信』の創刊号も購入。吉増剛造が詩を寄稿していて、その原稿用紙が薄い紙に縮小印刷され、帯になっている。吉増のあまりにも独特な、文字がカミキリムシのように蠢いて紙を持つ手を咬みそうな世界、それがミニチュアになって、すぐに破れそうで儚い。つくづく変な詩人である。

吉増剛造が奄美・沖縄を歩く映画、『島ノ唄』(伊藤憲)のパンフレットにも、原稿用紙2枚のコピーを付けてくれていて、これも蜻蛉の羽のようで大事にとってある。かつて、吉増は8ミリ映画について、「脈動を感じます。それはたぶん8ミリのもっているにごり、にじみから来るのでしょう」(『8ミリ映画制作マニュアル2001』、ムエン通信)と表現した。この儚くて同時に強い感覚は好きである。


「光の落葉―奄美、加計呂麻」の原稿(一部)

「アフンルパ」とは、アイヌ世界において、あの世への入口となる凹みだという。死の凹みは生の蠢き、書肆吉成も札幌の凹み?

●参照
島尾ミホさんの「アンマー」
仙台の古本屋「火星の庭」


フジ・GF670の販促DVD

2009-12-03 01:15:41 | 写真

量販店でフィルムを買ったついでに、無料で配布していたDVDを貰ってきた。フジが1年くらい前に出した中判カメラ、GF670の販促用のものだ。

さっきウトウトしながら、1時間以上も写真家が喋りつづける映像を観た。フィルムの優位性、レンジファインダーの良さ(ピント合わせ、ストロボ高速同調、ミラーショックのなさ)、それから蛇腹を折りたたんだときのコンパクトさ、などを何度もアピールしていた。なぜか、近所の浦安・猫実をリバーサルで撮影してもいる。

確かに見かけるたびに欲しい欲しいと思う。小さく折りたたんで、出張に持っていけたら最高だろうな。これが発売される前、10万円を切るのではないかという噂があって、なんとしても買うぞと念じていたのだが、蓋を開けてみれば20万円くらい。今でも中古は出回っていないし、とても買えない。それに、同じくらいの値段が付いている、ライカのズミルックス35mmF1.4とどちらかを差し上げますと言われたら、迷いなくズミルックスを掴むだろう(何が言いたいのか)。

でも欲しい。

いま中判のレンジファインダーは、フジのGW680IIIを使っている。GF670はレンズが相当良くなっているという評判だが、実際には、まあ変らないに違いない。GF670が出た影響か、それとも銀塩の人気がじわじわ落ちているためか、GW680IIIやGW690IIIなどのGWシリーズ最終機の中古相場価格が値崩れしている。頑張って入手したオーナーとしては複雑な気分だ。


GW680IIIを一眼レフと並べると「ライカのおばけ」