エディ・ハリスが主題曲を吹いていたなと思って、録画しておいた『勝利への脱出』(1980年)を観る。ジョン・ヒューストン監督、シルベスター・スタローン主演の作品であり、スタローンにとっては『ロッキー』と『ランボー』の間にあたる。観終わってから調べると、エディ・ハリスのサックスは『栄光への脱出』だった(笑)。
ナチスドイツの収容所で、元サッカー選手の捕虜たちがチームを結成、ナチス支配下のパリでドイツチームとサッカーの試合を行うという話。ペレが特別出演し、ドリブルやオーバーヘッドキックを見せている。
ヒューストンの演出は大袈裟なところがなく極めて上品、好感を持ってしまう。脱獄したスタローンがレジスタンスの女性と関係を持つ描写なんて、いまの映画にはほとんどないに違いない。チームのメンバーたちが逃げ出して終わるのでなく、サッカーの観衆たちが試合に歓喜しながら自由を求めてグラウンドに雪崩れ込むラストシーンも良い。
勘違いついでに、ヒューストンの前作、『王になろうとした男』(1975年)も続けて観る。ここにもマイケル・ケインが出演していて、ショーン・コネリーとともに、インドからアフガニスタンを越えて伝説の国へ入り、神として君臨する。彼らの持つフリーメーソンの印と、アレクサンダー大王が残した財宝に付された印とがそっくりだという設定は秀逸。一つ目の神像も奇妙奇天烈で愉しい。
ジョン・ブアマン『未来惑星ザルドス』やジャン・ジャック・アノー『薔薇の名前』と同様、むんむんと男臭が漂うコネリーが出ると怪作度が増すという不思議である。
ジョン・ヒューストンの作品は、『マルタの鷹』、『黄金』、『キー・ラーゴ』、『アフリカの女王』など40年代、50年代のものが評価が高い。60年代のどうかしている『天地創造』は置いておいても、70年代以降にも秀逸な作品があるのだということ。