『サンタ・バディーズ 小さな5匹の大冒険』(ロヴァート・ヴィンス、2009年)というディズニーの映画の試写会が当ったので、祝日に、子ども2人を連れて有明のパナソニックセンターまで出かけた。当然だが、半分は子どもである。
ヒップホップが好きな犬やら、庭の仏像に向って瞑想しながら「ナマステ~」などと呟く犬やら登場して、それなりに楽しめる。しかし何よりも驚くのは、サンタを信じよという布教色の強さ。どうしようもないほど単純なメッセージなのだ。
ああクリスマスだなと思い出して、ウィントン・マルサリスのクリスマス曲集を聴こうと思ったら、どうやら売り払ったらしく見当たらない(去年も同じ行動を取ったような気が・・・)。それで、ジミー・スミスのクリスマス曲集『Chiristmas Cookin'』(Verve、1964年)を取り出して聴く。
人気盤『The Cat』もそうだったが、ゴージャスなオーケストラをバックにしたオルガンという趣向がどうしても好きになれない。折角のスミスのハイテクニックのハモンドオルガンが埋もれてしまうような気がするのである。そんなわけで、多分、次に聴くのはちょうど1年後だろう。
そんな中でも、3曲だけ、スミス(オルガン)、クウェンティン・ウォーレン(ギター)、ビリー・ハート(ドラムス)のトリオ演奏はスリリングだ。しかし、これにしても、ウォーレンのギターにどうも馴染めない。翌年と翌々年の別セッションから1曲ずつ、ボーナストラックとして収録されていて、不幸なことにこの2曲のほうが素晴らしい。というのも、「Baby, It's Cold Outside」のギターはウェス・モンゴメリー、「Greensleeves」のギターはケニー・バレルなのだ。
愛着のあるクリスマス・アルバムを言うなら、ロル・コクスヒル(サックス)、フィル・ミントン(ヴォイス)、ノエル・アクショテ(ギター)という変態3人トリオによるEP盤『Minton - Coxhill - Akchote』(Rectangle、97年録音)だ。EP盤とは言っても、45回転ではなく33回転(このことはどこにも書いていないし、A面がどっちかも聴くまでわからない)。このレコード、さっき聴こうと思ったが小さくて見当たらず、寒い部屋で15分も探してしまった。
「The Christmas Song」を2回(トリオとミントンのソロ)、トラディッショナルのクリスマス曲メドレー、それから妙な曲を演奏している。コクスヒルのいつもの緊張感を欠く、ぶわっと息を含んだサックスも良いし、ミントンの朗々としてチャーミングな声は聴いていると幸せになる。アクショテはギター演奏というより、後ろでヘンな声を出したり咳をしたり雑談したりしていて、何のためにいるのかよくわからない・・・・・・が、そのいい加減さがひたすら愉しい。
このような手作りのアナーキーな盤があるほど、社会が平和になる。レクタングルはフランスのレーベルだが、最近も何か出しているのかな。