中国で買ってきたDVD、ミカエル・ハフストローム『諜海風雲 Shanghai』(2009年)を観る。チョウ・ユンファ、コン・リー、渡辺謙、ジョン・キューザックが共演する大作(日本未公開)。それにしてもDVD化が早い。
日米開戦直前の上海。英、仏、独、米、日の各租界では一応の抑止力が保たれているはずだった(「英国で酒を呑み、仏国で食事し、独国で情報を仕入れ、日本からなるべく離れたホテルに宿泊する」なんて言葉が引用されている)。実際には、日本軍の横暴が激化していた。友人のもとに来た新聞記者(ジョン・キューザック)は、友人が直前に殺されたことを知る。調べてみると、日本の軍人(渡辺謙)の情婦に接近し、日本軍の情報を仕入れていたのだった。そして日本軍と着かず離れずの距離を保つ男(チョウ・ユンファ)、その妻でありながら「南京大虐殺が上海でも起きてしまう」と密かに抗日運動を行う女(コン・リー)。
映画としては可もなく不可もなく、といったところか。大根役者ジョン・キューザックは明らかにミスキャスト、相変わらず色気のあるコン・リーの存在感に救われている感がある。チョウ・ユンファについては、何が良いのかまったくわからない。
ちょっと前に飛行機の中で観た、胡玫(フー・メイ)『孔子』(2010年)でも、チョウ・ユンファが孔子の役をつとめていた。これがもう、薄っぺらの伝記映画で、ユンファの表情にのみ頼ったような駄目駄目な作品だった。報道では、中国でも『アバター』に押されて客の入りが芳しくない様子。
こんな作品に比べれば、『諜海風雲 Shanghai』は百倍優れている。