マイケル・マン『インサイダー』(1999年)を観る。1995年に発覚した事件をもとにした物語である。
ファイザーなど大手製薬メーカーを経て大手タバコ会社・B&W(現在は吸収合併されて存在しない)に在籍した科学者・ワイズマン(ラッセル・クロウ)は、突然、会社から解雇される。一方、CBSの番組『60 Minites』のプロデューサー、バーグマン(アル・パチーノ)は、B&Wをはじめとする7大タバコ会社が、ニコチンの有害性を研究により知りながら無害だと言い続けていたという内部文書を入手し、それを読み解くことができるワイズマンに接触する。内情を告発しようとするワイズマンには、守秘義務契約を盾にしてB&Wから激しい圧力がかけられる。それはCBSの上層部にまで及んだ。バーグマンは揉み消しに反発し、ひとり闘う。
勧善懲悪的な物語展開を含め、マイケル・マンの演出は手堅い印象であり、160分の長さを感じさせない。時折聴こえるサックスの音がヤン・ガルバレクみたいだなあと思っていたら、やはりガルバレクだった。
それにしても、原田眞人『クライマーズ・ハイ』といい、本作といい、組織に対して反骨心を剥き出しにして闘う男の姿を見せられると、実に単純に感情移入してしまう。私はアホかもね。
●参照
○マイケル・マン『パブリック・エネミーズ』
○『インサイダー』のヤン・ガルバレクによるサウンドトラック(Youtube)