山本迪夫『血を吸う薔薇』(1974年)を観る。
先日中野に足を運んだ際、立ち寄った店に千円で置いてあり(しかもくじ引きで300円引き)、即確保したものだが、案の定、画質が汚くVHSか何かからのダビング品だった。もう二十数年前にテレビで観て以来で、記憶を確かめるためにもまた観たいと思っていた程度だから、良しとする。
山村の女学校に赴任する新任教師が黒沢年男。学長=吸血鬼が岸田森。同僚が田中邦衛。刑事が伊藤雄之助。日本の吸血鬼映画のはしりだが、いや~、しょうもない。岸田森が登場するたびに笑ってしまうが、このとき、何とまだ35歳くらいである。冗談のように老けている。小幡貴一・小幡友貴『不死蝶 岸田森』(ワイズ出版、2000年)という本が出たとき、発売日に待ちきれなくて三省堂書店に駆け付けたところまだ見当たらず、店員に訊ねると「えっ?あの『怪奇大作戦』の?」という嬉しい返事。この怪優のイメージは、人によっては『怪奇大作戦』、人によっては『帰ってきたウルトラマン』、人によってはATGの実相寺昭雄、なのだろうが、この映画が脳裏に焼き付いている人も多いに違いない。