Sightsong

自縄自縛日記

ジェレミー・ペルト『#Jiveculture』

2016-02-23 07:42:26 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジェレミー・ペルト『#Jiveculture』(HighNote、2015年)を聴く。

Jeremy Pelt (tp)
Ron Carter (b)
Billy Drummond (ds)
Danny Grissett (p, Fender Rhodes)
Lisette Santiago (perc) (track 6 only)

拍子抜けしてしまうほど普通のフォーマット、しかも御大ロン・カーターを迎えるなんて、かつてのSomethin' Elseなどの商業路線を思い出さざるを得ない。実際に、ロン・カーターがユルユルの弦でべよーんべよーんと変な音を撒いていることも同じような。ペルトは何がやりたかったのだろう・・・?(カーターが参加してなんとも言えない作品になった、ゴンサロ・ルバルカバ『Diz』なんかを思い出したりして。)

それはそれとして、堂々とした体躯から放たれるからこその、艶やかでどっしりしたペルトの音はとても良い。まるで勢いだけで叩くことを拒否するかのように呻吟しながら、リズムをさまざまに変えていく、ビリー・ドラモンドも好きである。

●参照
ジェレミー・ペルト『Tales, Musings and other Reveries』(2014年)
ジェレミー・ペルト@SMOKE(2014年)
ジェレミー・ペルト『Men of Honor』(2009年)
ジャズ・インコーポレイテッド『Live at Smalls』(2010年)(ペルト参加)
ルイ・ヘイズ『Dreamin' of Cannonball』(2001年)(ペルト参加)


赤星十四三『アイスバー・ガール』

2016-02-23 00:16:25 | 沖縄

赤星十四三『アイスバー・ガール』(沖縄タイムス社、原著2004年)を読む。

沖縄に住む「美咲」は、大学受験に失敗したばかりの浪人生。彼女はまだ飛行機に乗ったことがない。誰もが憧れ、本人も馴染む島から、なぜわざわざ飛行機に乗って、外の都会に行くのか。それは説明できない衝動のためであり、目の濁りのためでもあった。

わたしも田舎の出で、都会の猥雑な底なし沼にどうしようもなく憧れて、もう戻れなくなったニゴリ目者であるから、まあ登場人物たちに共感はできる。共感できないのは、自分の田舎がひどく居心地の悪いところだったことで、これはわたしだけではないはずだし、沖縄であってもそれは同じようなものだと半ば確信しているのだが、さてどうだろう。(つまり言うまでもないことだが、人の田舎は好きだということである。)

それにしても、飛行機を外界とつなぐ象徴として描き、さらに、都市伝説のウサン臭さと、『銀河鉄道の夜』のうっとりするような夢とをミックスするなんて、面白い。