ジェン・シュー『Sounds and Cries of the World』(Pi Recordings、2014年)を聴く。
Jen Shyu (vo, p, gat kim, gayageum, ggwaenggwari, kemanak)
Ambrose Akinmusire (tp)
Mat Maneri (viola)
Thomas Morgan (b)
Dan Weiss (ds)
「JazzTokyo」における蓮見令麻さんのコラム(>> リンク)によれば、ジェン・シューは、インドネシアや韓国などのアジア各国において伝統音楽を吸収してきた存在なのだという。本盤でも、台湾、韓国、日本の楽器を使っている。ただ、サウンドの雰囲気がシンプルにどこの地域ということはない。シューという個人の中で消化し、昇華した世界である。
一聴して頼りなく感じられた。しかし、繰り返し聴いていくうちに、裏声とともにうねうねと広い音域を旅するシューの声に惹かれてゆく。
アンブローズ・アキンムシーレのトランペットが、ミディアムな領域でクリアに立っている。トーマス・モーガンの残響感のあるベースと、耳を掌で触るようなマット・マネリのヴィオラ。柔軟にリズムを組み立てるダン・ワイス。かれらの発する音が、蛇のように旅をするシューの声に寄り添っていくようである。
●参照
アンブローズ・アキンムシーレ『The Imagined Savior is Far Easier to Paint』(2014年)
アンブローズ・アキンムシーレ『Prelude』(2008年)
トム・ハレル@Village Vanguard(2015年)(アキンムシーレ参加)
タールベイビー『Ballad of Sam Langford』(2013年)(アキンムシーレ参加)
デイナ・スティーブンス『That Nepenthetic Place』(2010年)(アキンムシーレ参加)
ミシェル・ポルタル『Bailador』(2010年)(アキンムシーレ参加)
ヴィジェイ・アイヤー『In What Language?』(2003年)(アキンムシーレ参加)
イングリッド・ラブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone(2014年)
クレイグ・テイボーン『Chants』(2013年)(モーガン参加)
ポール・モチアン『The Windmills of Your Mind』(2010年)(モーガン参加)
菊地雅章『Masabumi Kikuchi / Ben Street / Thomas Morgan / Kresten Osgood』(2008年)
マット・ミッチェル『Vista Accumulation』(2015年)(ワイス参加)
フローリアン・ウェーバー『Criss Cross』(2014年)(ワイス参加)
エディ・ヘンダーソン『Collective Portrait』(2014年)(ワイス参加)