Sightsong

自縄自縛日記

FIVES & 鈴木常吉『童謡』

2019-01-15 07:32:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

FIVES & 鈴木常吉『童謡』(yoshidamusic、1991年)を聴く。

Tetsuji Yoshida 吉田哲治 (tp)
Shuichi "Ponta" Murakami 村上ポンタ秀一 (ds)
Akihiro Ishiwatari 石渡明廣 (g)
Keita Ito 伊藤啓太 (b)
Michiaki Tanaka 田中倫明 (perc)
Tsunekichi Suzuki 鈴木常吉 (vo)
Akinobu Imai 今井章信 (g)

紛う方なき日本のジャズロック、イケイケのビート。それぞれの強い貢献がカッチョいい。

鈴木常吉のこの愉快そうな勢いと言ったらない。そしてミニマルな領域でエンジンを搭載してぶんぶんと飛びまくる吉田哲治のトランペット。嬉しい。

●吉田哲治
吉田哲治『Jackanapes』(2018年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』
(1988年)
生活向上委員会大管弦楽団『This Is Music Is This?』(1979年)


マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』

2019-01-15 06:58:58 | 思想・文学

マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ、原著2013年)を読む。

ここで著者がいう世界とは、すべてを統合的に説明し、すべての原理となり、すべてを包むものとしてのありようだ。しかしかれはそれを否定する。宇宙もまた別の形ではあるが、やはり否定する。

なぜか。かれによれば、数多くの(無数の、ではない)小宇宙が、あるいは対象領域が、たんに並んで存在するに過ぎないからである。逆に言えば、世界以外のあらゆるものが存在する。その存在は、文脈を抜きにしては考えられない。

語り口は平易だ。何と言うこともない思想に思えるかもしれない。しかし、この思想に付き合うことには大きな意味があるように思える。なぜならば、これは、ひとつひとつの存在を何か(世界など)に従属すると想定してしまう思考回路を、徹底的にしりぞけるものであるからだ。得られる大事な考えは、たとえば、「果てしない意味の炸裂」である。そして、思考は「人生の意味」にも辿り着く。

「人生の意味の問いにたいする答えは、意味それ自体のなかにあります。わたしたちが認識したり変化させたりすることのできる意味が、尽きることなく存在している―――このこと自体が、すでに意味にほかなりません。」