蕨のココシバ(2022/5/29)。
Eri Liao エリ・リャオ (vo)
Jun Kawasaki 河崎純 (b)
エリ・リャオさんは台湾原住民のタイヤル族(台湾では先住民のことを原住民と呼ぶ)。エリさんにとっても台湾を離れている間にアイデンティティを見つめた上で山地同胞から原住民へと呼称が変わり、驚きでもあったと話す。16民族のことばがあり、さらに台湾語も大陸のさまざまなことばもある。エリさんは、テレサ・テンも歌った<高山青>から始め、ブヌン族、プユマ族、ツォウ族、アミ族のうたなどを披露する。意味がわかるとおもしろいし、かけあいばかりのうたも愉しい。
興味深いことは、日本の影響がさまざまなかたちでみられることだ。日本占領時代に日本の音楽教育を受けたエリートがいた。ツォウ族の高一生は通名が矢多一生であり、日本の民謡などからの影響を受けていた。あるいは他のうたにもちょっとした日本語が歌詞に入っていたりもする。懐メロの<星の流れに>などは若い人たちも歌っているそうだ。負の歴史でもあり、生の過程でもあり、それらをうたを通して追体験する。
エリさんの声は一様ではない。喉歌のように倍音を効かせることもあるし、敢えて弱くヴァルネラブルなときもある。河崎純さんのコントラバスもまたうたへの近づきようが繊細だった。台湾のうたにおいても、また河崎さんがル・クレジオや宮沢賢治などを想像しながら作ったメタ的な民族音楽においても。
河崎さんはエリさんをヴォーカリストとして新たなプロジェクトを行うそうで、ちょっとこれは新しい楽しみができた。
Fuji X-E2, AM Topcor 55mmF1.7
●河崎純
河崎純 feat. ジー・ミナ『HOMELANDS – Eurasian Poetic Drama –』(JazzTokyo)(2018年-)
ユーラシアンオペラ東京2018(Incredible sound vision of Eurasia in Tokyo)@スーパーデラックス(2018年)