六本木のZen Foto Galleryに足を運び、香港の写真家・陳偉江の写真展『油麻地』を観る。最終日に何とか滑り込むことができてよかった。
何しろ『001-023』に吃驚して以来、プリントを観たかった作家である。そして、その待望のプリントは、印刷してある作品よりもはるかに迫力のあるものだった。
咄嗟のスナップも、ノーファインダーでのスナップもあるだろう。香港に棲息する人びと、なかには奇怪な人もいる。かれらと向き合い、すれ違った瞬間が焼き付けられている。そのスピード感もストリート感も、かつて日本で同じようなアプローチで名を成した作家の現在の作品群とは比べものにならないほど尖っている。
しかも、プリントが実に粗い(笑)。RCペーパーだそうだが、ものによっては印画紙に光がかぶっていて微妙にグレーになっている。周辺もエッジもなぜだか甘々。出来上がりは平面性もなくよれよれ。しかし、それがまた良いのだから面白いものだ。
この人が撮影する映像を観たことがあるが、アラーキーを敬愛しているという。であればなおさら、東京を撮った作品も観てみたい。
●参照
陳偉江『001-023』(2013年)