原美術館(久しぶり!)にて、ソフィ・カル『限局性激痛』展。
ソフィ・カルは、若いときにパリから東へと旅立ち、ソ連、モンゴル、中国を経て日本に渡った。そしてパリの恋人から手紙が届き、ニューデリーで落ち合うことにする。そのドラマチックな計画は、恋人の裏切りによって無残な結果に終わる。なんと彼女は、その激痛を治癒するために、悲惨な体験を語る者を見つけてはお互いに自己の物語を語った。それはすべて記録されていった。
やはりソフィ・カルというべきか、どうかしている。激痛がアーカイヴ化されて披露される、それはちょっと真似できそうにないほどだ。しかし、そのことが奇妙な昂揚感を生み出している。語りとはなんのためのものか。記憶とは刷りなおされるものか。体験の共有とはなんなのか。
圧倒的な凄みをもつ展示。驚いた。
●ソフィ・カル
自分の境界の裏と表