セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 92本、 演劇 70本

リアル・フィクション (2000/韓国)(キム・ギドク) 70点

2008-05-22 13:01:18 | 映画遍歴
ギドクの初期作品とは言っても既に「鰐」等の秀作を発表しているわけなので、何だか後戻りしているような気がした。長廻し、即興的なハナシの繋ぎ等見るべきところはあれど、いかにも若い、否青いといってもいいかな、悪く言えば学生の卒業映画風でもある。 まず、ギドクの作品に漂っている心情という観客と共有できるものがほとんど感じられずエンド。僕はこれは何事ぞ、とおののく。 思いつきというのでもないが、こんなの . . . 本文を読む
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許されざるもの (2005/韓国)(ユン・ジョンビン) 75点

2008-05-14 14:58:40 | 映画遍歴
韓国で義務化されている2年強の軍隊入り。個が集団に入り込み、個のままで個を持続できるか埋没してしまうか、人間性はどこまで許容出来るのか、といった社会に存在するともいえる普遍的なテーマを軍隊に見る佳作。 集団に入るということは没個性を意味しているのは当然のこととして切り分けられる性格の御仁とは違い、純粋な人間からすれば軍隊とはいえ俗世間の泥水のかけらでさえ味わえない環境はある意味地獄の世界なのでし . . . 本文を読む
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相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km (2008/日)(和泉聖治) 70点

2008-05-14 14:07:57 | 映画遍歴
結構練られた脚本、多彩な俳優陣、主題も社会的で無体である政治も親近感がある内容となっている。なのにそれほどわくわく感がなかったのは事実です。例えば「踊る大捜査線」とは違う。何が違うのか、、。 話の持って行き方が理詰めだからなのだろうか、、。でも、それは大捜査線もそうだ。確かに登場人物は大走査線のほうが多いが、それだけじゃない、、。アクション部分も負けず劣らず本作も立派だ。うーん、何かな。 結局 . . . 本文を読む
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ジャンパー (2008/米)(ダグ・リーマン) 55点

2008-05-14 13:03:37 | 映画遍歴
瞬時移動が出来るといった能力を知った少年がどんどんエスカレートしていく、といったまあ手短なアイデアモノ映画なんでしょうけれど、主人公の行動に観客が乗れるかどうか、となるとそれはちと違いまして、あんなエゴ丸出しのしかも都合のいい考え方をするアンチヒーローに僕はあいた口がふさがらず、往生したのも事実です。 この映画のミソはここにあるのでしょう。通常のスーパーマンやスパイダーマンのように社会正義のため . . . 本文を読む
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愛おしき隣人 (2007/スウェーデン=独=仏)(ロイ・アンダーソン) 80点

2008-05-14 11:37:14 | 映画遍歴
相変わらず独自の作風を保持している北欧の映像作家ロイ・アンダーソンの新作だ。登場人物は多いけれども、みんな人生を投げているわけではない。寂しさと恵まれていない不満感を一様に抱いている。 けれども諦め切っているわけではないそんな普通の人々のそれぞれの切り取られた時間を醒め切ったくすんだ色調で描いていく。 夢と現実が交錯した、ある意味哀しい小さな人生をたどり着いているようなエピソードが目の前に展開 . . . 本文を読む
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光州5・18 (2007/韓国)(キム・ジフン) 65点

2008-05-11 22:14:08 | 映画遍歴
広州の騒乱は当時新聞にも詳しく出ていたので大きな事件としてよく覚えています。お隣の国でなぜこんな前時代的なことが起きてしまうのか当時は不思議でした。 そのまま時間軸が移動しこの映画を見て詳細を知ることになりましたが、何故か光州という土地柄そのものにも歴史的に安易か暗い闇があるようにも受け取れました。 映画のほうはそれらを下敷きに多少の恋愛をも描き、エンターテイメント風にしつらえています。兄弟、 . . . 本文を読む
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連休後半映画日記(5/6~5/7)

2008-05-09 13:03:29 | 書きとめ日記
世間では6日で連休が終わる。で、たまには映画館も梅田、難波、京都以外の珍しいところに行こうと思い、九条に行くことにした。 シネヌーヴォーは小さな映画館だが、芸術映画というより地味で必要な映画を上映しているいい映画館である。 今日はまずドキュメンタリーの「パレスチナ1948・NAKBA〈ナクバ〉」。 ドキュメンタリー映画は久しぶり。というか、あまり見ないようにしている。劇映画だけでも年間200本を越 . . . 本文を読む
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド (2007/米)(ポール・トーマス・アンダーソン) 90点

2008-05-09 11:35:29 | 映画遍歴
狂気、欲望、無信仰、孤独、そして血というものを原油が噴出するように荒々しく描きこむ男の精神史。 100年ほど前の話なんですね。ゴールドダッシュが終わり、新しい時代を迎えていたときの話だ。 最初の20分ほどのセリフなしの映像の連続には驚愕する。アンダーソンの心意気が見える。 2時間40分、男の心情を象徴する不協和音が鳴り響く。ある意味、この映画の主役はダニエル・デイ・ルイスであり、音響であり、 . . . 本文を読む
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砂時計 (2008/日)(佐藤信介) 70点

2008-05-08 16:46:25 | 映画遍歴
原作とか全く知らないで見ましたが、「セカチュー」と全く同じ形式で、若い二人の純粋な愛にはやはり素の強いものが感じられ感動しました。 ただ、社会人になってからの二人には「セカチュー」ほどのひねりがないので、どうも盛り上がらない。これは原作がどうか分からないけれど、30分ほど長くして大人版もじっくり描けば韓国映画「ラブストーリー」並みの感動作になったのではないか、と少々残念。 やはり夏帆と池松壮亮 . . . 本文を読む
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ワイルド・アニマル (1997/韓国)(キム・ギドク) 70点

2008-05-08 15:33:52 | 映画遍歴
キム・ギドクの2作目。うーん、若いかなあ。 テーマは詰め込んでる。北と南の融和、若さの無軌道、明日のない恋愛。ただ、珍しくこなれてない。映像と映像との繋ぎが滑らかでない。少々ぎこちない。え、どうしたの、という感じ。描きたいこともストレートさに欠ける。くすぶっている。 でも、こんなギドクも好きだなあ。だいたい、パリって合わないよな。そこを無理やり設定しちゃうんだから、やはりギドクらしい。好きだよ . . . 本文を読む
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KAMATAKI -窯焚- (2005/カナダ=日)(クロード・ガニオン) 70点

2008-05-08 14:30:41 | 映画遍歴
日本の伝統芸術、信楽焼の窯焚を通して、日本の自然、人間の営みとの一体感を美しい映像で描き出す、というテーマです。 少々強引で図式的な構図の映画です。最初の設定である父親が亡くなったから自殺未遂をした青年を遠く離れた日本で再生を期す、といういかにも頭で練り固めた出だしが気になりましたが、、。 外国人から見た日本の文化の違和感というものはさすがクロード・ガニオンからは感じられないが、自然との融合か . . . 本文を読む
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パレスチナ1948・NAKBA(ナクバ) (2008/日)(広河隆一) 80点

2008-05-08 13:23:01 | 映画遍歴
ナクバとは大惨事という意味であり、ユダヤのホロコーストと対極的ではあるが同意味でもある、と思う。要するにパレスチナから見たホロコーストである。で、それは1948年のイスラエル建国による領地迫害をいう。 僕もパレスチナ問題については大部分の日本人同様ほとんど無知であります。だが、戦後国連がパレスチナ地域をアラブ人とユダヤ人に分割する案を決議し、その後イスラエルが建国を宣言した後、戦争が勃発し大量の . . . 本文を読む
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使命と魂のリミット(2006)(東野圭吾/著 )新潮社 80点

2008-05-03 12:54:40 | 読書遍歴
最近の東野は本当に泣かせ上手の作家になった。この小説も中盤までは通常のミステリーと何ら変わらない展開だったが、後半急に目覚めたように人物像が明確になり、俄然活き活きしてくる。 犯人側の心理ともう一方被害を受けるほうの研修医との対比が、人の心の融解にまで繋がっていき、僕は恥ずかしながらこの本を読んでいて二度泣いてしまった。東野は最近これで点数を稼いでいるんだな。しゃくだけど事実だ。うまいよ。円熟味 . . . 本文を読む
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紀元前1万年 (2008/米=ニュージーランド)(ローランド・エメリッヒ) 60点

2008-05-02 11:51:25 | 映画遍歴
1万年前って新人類が出始めて、生活する際、自然・原始宗教・恐竜的動物等とどのように鋭意工夫しながら生活していくのか、そんな茫洋とした気持ちでスクリーンを見始めましたが、何のことはない、現代と変わらぬ民族の抗争を見せ付けられ唖然とします。 どうしても1万年前という時に気持ちが動くが、映画では文明らしきものも出現している。エジプト文明って3000年前ぐらいだと思うので、その比較からすると少々違和感は . . . 本文を読む
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天使のナイフ(2005)( 薬丸 岳 (著) )講談社 80点

2008-05-02 11:06:00 | 読書遍歴
少年法の基本的問題をえぐり出した力作です。13歳で犯罪を犯すと裁判を受けることはない。それが殺人であっても、、。 前半は少々説明調ではあるが、社会全体に投げかける問題提起は重い。しかし、この作品は社会的主張を底辺に置きながらも、ミステリーとしても質が高く、重層的に張り巡らされた伏線を元に、過去の犯罪をも一挙解明するその手法は鮮やかで見事の一言。ここ最近のミステリーでも出色の出来です。 だいたい . . . 本文を読む
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