flutter of birdsレビュー再掲大算段どす。つか15年前の作品を今さらレビューして何になるというのか?と疑問を抱きはしたものの、そこに傑作があるからだ!とただの開き直りみてーな答えしか思いつかなんだ(´・ω・`)
まあそれはともかく、以下に書いたシステム部分の酷さはもっとも深刻な欠点と言えよう。たとえばシナリオの整合性はそのキャラをクリアする際の驚き(つまり秘密の存在の必要)を考えたらなかなか難しいし(逆にアニメや小説であれば、あるキャラの悲劇が他のキャラとの関係性に影響を与える、といった演出が有効になりえるだろうが)、泣きシーンの尺の長さはまあご愛嬌な部分もある。
しかーし、読ませるシナリオであり、かつ大気と美雨シナリオは攻略が結構難しい以上、セーブに関する利便性は最大限の注意を払うべきであった(ちなみにシステムがシナリオの魅力を大いに損なわせた典型例はLeafのWHITE ALBUMである)。もしそれがなされていれば、あるいは「CROSS†CHANNEL」や「腐り姫」といった傑作をも凌駕するPCゲームの金字塔となっていたかもしれない(まあそれらに比べるとflutter of birdsは曲がちと弱い感も否めん。たとえばシナリオ面では見劣りするflutter2だが、衝撃的なシーンの「心の檻」は大変有効で、このような「決め曲」のようなものが1にあれば、その演出効果は倍増したであろう)。
[原文]
さて、評価すべき点に引き続いて批判すべき点を述べていこう。
(システムが酷い)
おそらくほとんどの人が指摘していると思うが、ゲームシステムは本当にカスである。セーブが10個しかできない、選択肢のところでは勝手にカーソルが移動する(選択肢が突然出てくると間違って選んでしまうことも…)、ロードがめんどくさい、フルスクリーンで固定されるetc...とにかく同時代(2001年)のゲームと比べてもありえないくらいの酷さ、不便さを誇っている。シルキーズ第一弾としてシステムすらも回帰しようと考えたのかもしれないし、あるいは製作期間の短さによるしわ寄せなのかもしれないが、ストーリーが重要なゲームではいかにシナリオに集中させるかが重要であり、システム面の不備は大きなマイナスとなってしまうのだ(何度ゲーム中にイライラしたことかわからない)。また見せ場の多いゲームなので一人につき最低2個のセーブデータをストックしたいというのが本音だが、セーブ10個ではそれも無理という話である。
(泣きシーンの尺の長さ)
セリフも演技もいい、映像もいい、曲(歌)もいい、と良いことずくめのようだが、泣きシーン(山場)の長さはかなりマイナスだ。正直最後の方では「まだ続くの?ずいぶん死なずに粘るねw」という印象すら抱いた。シーンそのものが良いだけに、こういった欠点は目立ってしまう。おそらくライターが言葉に酔っているからだと思うが、セリフが多すぎるのだ。特に長い大気、美雨、つばさのそれは2/3くらいの尺で調度いいと思う。
(全く合ってない3Dの背景)
イベント絵に関しては、前回述べたように高く評価できる。しかし普通の背景は3Dであり、しかも2Dのキャラ絵と全く合っていない。そしてこの違和感は最後まで変わることがなかった。ところでいきなり3Dが使われていたのはなぜだろうか?さすがにこれだけ合ってないと疑問だ。もしかすると、期限に間に合わないからってことでイベント絵と普通の背景を同時進行で作ったのかもしれない。だとすれば、これも製作期間の短さによってできた瑕と言えるだろう。
(シナリオ間の整合性の欠如)
これもかなり酷い。キャラの設定に対してはあまりうるさくない方だと思うが、それでもオイオイと思う場面が結構あった。例えば同じキャラのシナリオなのに一方では不治の病かのような雰囲気で死に、もう一方では病院で治療を受けて復活するというように。しかもそういった違いが生まれた理由がまったく説明されない。もし理由をひねり出そうとすれば、対応したクマ先生がよほどの「ヤブ」という可能性くらいだが、それも本編の描き方からすればそういう人物としての設定はされていない。だとすれば、このような違いはどうして生まれるのだろうか?答えは簡単で、片方で死ぬ悲しみを体験させ、片方では助かる喜びを感じさせようと意図しているからだろう。要するに、「あざとい」のである。まあもう少し良心的に分析するなら、大気(いぶき)と美雨が助かる、あるいは助からない必然性が説明されていないのは明らかにマイナス。大気のシナリオは、二つで完成という内容になっているし、あくまでそれぞれの完成度はかなり高い。つまりどちらかのシナリオを削る必要は必ずしもないと思う。ただもう少し練り込んでいたら、さらにレベルの高いシナリオになっただろうと思うだけに非常に残念である。
批判すべき点はこんなところだ。なお、個々のシナリオについての評価等は後でキャラ評と一緒にやるつもりである。
※画像の著作権はシルキーズに属します。ちなみに画像はシナリオの方向性がよくわからない離加等(りかとう)メーの画像。批判すべき点の象徴ということで挙げておいた。
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