日々のつれづれ(5代目)

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【本】渡辺利夫著 「新脱亜論」(文春新書)

2021-12-02 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 福沢諭吉の「脱亜論」は、内紛に明け暮れいつまで経っても国家としての自立ができない朝鮮、地方国乱立で統一国家として体を為さない中国を見限り、広くアジア諸国との交流を行いべしと言う趣旨だったと理解している。それを現代に照らし合わせればどうなるか。

 先日の「21世紀の脱亜論」ほどではないにしろ、日本人に耳障り良く威勢良い論が並ぶ。一瞬「そうだ、そうだ、もっとやれ!」と快哉したくなるんである。実際、領土問題など特に、幾らなんでも腑抜け過ぎない?と思っているのだ私は。紛争で犠牲者が出るくらいなら多少の領土、経済水域くらいくれてやれと思っているのか政府は。侵略が本土に及んでも同じ姿勢でいられるのだろうか政府は。

 とは言え、東南アジア諸国の潜在的日本リスペクトを根拠とする著者の認識は、執筆時点ではともかく現在では甘すぎる認識と思える。サブカル分野、旅行先としての人気はあっても、政治経済面で日本がリスペクトされていると考えるのはもはや思い上がりと言うべきではないのか。現状認識と言う立ち位置を間違えると、戦略戦術も間違ったものとなろう。

 ついでに、著者は執筆時点で拓大学長兼総長、現在は顧問を務め、国際交友協会である「オイスカ(OISCA)」の会長である。そうした要職にこういう思想の人物を充てることは適当なのだろうか。 

 2021年11月22日 自宅にて読了
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