戊辰戦争期の新潟・新発田(しばた)藩に起きた騒動を描く。戊辰戦争の一連で、新政府軍につくか、対立する奥羽越列藩同盟につくか。双方より態度を明らかにすることを強く求められ、微妙なかじ取りに苦悶する藩上層部がとった奇手とは、罪人を「活用」した欺瞞工作だった…罪人たち、そして藩の運命は。プロットは1964年に書かれたもので、60年後に日の目を見た作品。
運命に翻弄される、罪人や百姓たちの命の軽さをイヤと言うほど見せつけられる。人権なんて存在しない、と言うより連中はそもそも「人」と認識されていなかった。白石和彌監督らしく、これでもかの血みどろシーンの連続。でも実際にいくさ場ではこうだったかもしれない。
そして、何が正義なのか、人としての正しさ、城や待ちの民を守ること、人により異なる「正義」に絶対的な正しさはないことを、本作は強く訴えてくる。従って勧善懲悪、大団円的なエンディングではなく、引っ掛かりを感じつつ観終えた。
4日で6作品を観たが、これでまた当分はご無沙汰することになる。
2024年11月9日 川崎・チネチッタにて
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