森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ナデシコ(ナデシコ科)

2006年09月02日 | 自然観察日記
 クズ、オバナ(ススキ)、キキョウ(アサガオともいう)ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、またハギの花。秋の七草をこう覚えさせられたことがある。「日本」の代名詞ともなっている「なでしこ」の花もごく普通の野草で河原などでよく見かけたものだ。ときたま見るもやはりぐっと減った感じがする。この写真は先週の雪国植物園のときのもので、長岡あたりでももう施設に保護された状態で見るものになってきている。
 花色もよく、花弁が細く切れ込む独特な花姿と草全体が「柔」をイメージさせるあたりが日本女性と重なって好まれると思っている。ただ、最近の女性の中で「なでしこ」のイメージと重ならない部分があるという思いを持つのは私だけではないであろう。
 本種は別名カワラナデシコともいうが、日本には野生のナデシコの仲間は他にもあって、いずれもそれだけで園芸価値が高い名花揃いである。日本には誇れる花々が実に多い国であることを理解し、それを守り育てる気持ちを持ちたいものだ。
 

ミソハギ(ミソハギ科)

2006年09月02日 | 自然観察日記
 夏後半から咲き出して、もう盛りは過ぎてしまったがところどころの適湿地に花のついた株を眼にすることができる。盆花とも言われ旧暦のお盆にお墓を飾る代表的な花である。謂れを紐解くと、なかなか奥が深い。ミソハギは「禊(みそぎ)萩」からの転化とされ、花に水を浸して禊を行った風習があったようだ。別説で「溝萩」からというのもある。
 見慣れた花だが、花にはめしべの花柱でタイプが異なるものが混在する。サクラソウなどにも同じようなものが知られているが、長花柱花、中花柱花、短花柱化と3タイプを区分する。受粉の機会を増やし確実に次世代の子孫を残すための試みである。訪れる昆虫も幅があるのかもしれない。