森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ドクベニタケ(ベニタケ科)

2006年09月22日 | きのこ・菌類
 このころキノコを意識して歩くと必ずといっていいくらい遭遇する。雑木林に極普通に生えているキノコといっていいだろう。綺麗な赤い彩で目を引くが、名前がいけない。「毒」とつくともう警戒心の塊になるのか、蹴飛ばされたドクベニタケを時々目にする。日本人はどうしてキノコを蹴飛ばす癖があるのだろう。
 名前はさておいて、このドクベニタケ、噛んでみるとやけに辛い。唐辛子などの辛さでなくビリッとした刺激で何かの薬品の刺激に似ている。毒とされる意味もわからないわけでもない。ただし、日本でこのキノコで中毒したとか死んだとかは聞いたことがない。
 類似の種もあってこのグループはなかなか判別が難しい。恩師のN先生によればドクベニタケとされても辛味のないものもあるとか。しかし、私が噛んだものはすべて辛く、無味のものには遭遇していない。

クロバナヒキオコシ(シソ科)

2006年09月22日 | 自然観察日記
 秋の野にあるシソの花をもう一種。クロバナヒキオコシという花は小さいが、なかなか捨てがたい野草である。花の色と形がいい。花をアップで見るとどことなくユーモラスで愛嬌がある。普通のシソ科の花とはちょっと違う感じで特異だが、葉はシソそのもの。茎も四角でシソだ。
 秋のハイキングなどで野山を歩く機会があったら、ちょっと気を配って探してみてほしい。見つけたらきっと感動するのではないだろうか。

タイリンヤマハッカ(シソ科)

2006年09月22日 | 自然観察日記
 葉が特徴的でしっぽを出した亀の形に似ているから、カメバソウというのがある。カメバソウは正式な和名をカメバヒキオコシといい、主に太平洋側の山野にある。タイリンヤマハッカはこれとほとんど同じだが、花が大きい日本海側に分布する種である。越後では秋、適湿地に普通に見られる。花はシソ科特有な小魚が群れたような花穂を作る。秋の青色は涼やかである。
 ところで、「ひきおこし」というのは木の葉の汁を疲れた旅人に飲ませたら引き起こせるように元気になったというのが発端だそうである。薬草なっているらしい。