越後の里山では時々見られる高木で時に30mはあろうかという大木もあります。古い農家や屋敷にもよく見られ意図的に植栽された面もあるようで放棄された農地跡など自生か植栽か判然としないものも多々あります。それほど高木でない個体も点々とありますが地味な存在ですからほとんど注目されません。
ケンポナシを特徴づけるものは何と言っても果柄です。結実後ここが肥大し勝手気ままに屈曲し、食べると甘味があり「梨」の食感もありますから名前の由来ににもなっているのだろうと思います。「梨」はなっとくしても「ケンポ」は何でしょうか?残念ながら私は知りません。種子はこの果柄の先端に丸く付着している本来の果実の中に存在します。
この果柄が食用になると考えると古い家にも良く見られる理由も推測できますね。救荒植物と考えるとそれなりの筋が出来ます。一説には悪酔いにもいいとかで家やあるいは里地に近いところに大木が見られるのは生活の知恵なのでしょうか。甘味はあるといっても現代人にとってはそれほど美味しく感じるものでもありませんからパクパクと食べるような存在ではなくなっています。