亜高山から高山にかけて生育するカバノキの仲間。高木にはならず地を這うような樹形をする株立ち状の低木です。風の強い環境に生育するためでしょうか。葉は広い楕円形で細かな鋸歯があるものの前種ヤマハンノキの波打つような鋸歯ではありません。ハマウツボ科のオニクが寄生する樹としても有名ですが今回はオニクを見ることはありませんでした。
ツリガネニンジン属でもう一種。珍品のイワシャジンです。稜線上の2ケ所で見ました。崖の上部強い風が当たる一方でやや日当たりが悪く適度に湿気のある場所で、垂れ下がるような形で生育していました。この高山形とされるのがホウオウシャジンなのだそうです。草丈は50~60cmはある個体もありました。ヒメシャジンよりもっと葉が細く日陰を好むようです。実はこの花は写真に撮るにはかなり危険な場所にあって、内心ハラハラしながらの一枚なのです。もちろん初めて出会う種で夢中で写真に収めた次第です。中部山岳地帯に点在する貴重な花です。いい思い出になりました。
十分花を見せてもいい大きさの個体ですが、先端にはなにやらむかごのような塊がついています。手の届くところでなく、かなり危険でありましたから手にすることができずカメラに収めるしかありませんでした。実は同じようなものを里山で見ています。それはコオニユリの刈り払いにあった個体で、頂芽(花芽)を失った上部先端にむかごを形成していたのです。コオニユリはむかごのことはほとんど知られていません。このイワシャジンもむかごの記載は簡単に調べた範囲では載っていませんが、何かの原因で頂芽が失われた後にコオニユリのようなむかごを作ったのではないでしょうか。私にはそのように見えたのです。劣悪な環境に生きる術として花より無性生殖のむかごの生産のに重きを置いているのではないでしょうか。
昨日のヒメシャジンと間違えそうな種ですが、葉を見るとその違いが判ります。別名タカネツリガネニンジンと言いますから、低地に生えるツリガネニンジンとよく似ています。どちらかというと土壌が安定している草地に多く生えていて崖の上には見られません。
この属の花はどれを見ても似たようなものですから花だけでは識別が難しく戸惑ってしまいまいます。この種は花が段になっていくつも出ているのが特徴ですね。平地のツリガネニンジンに比べ背丈が低く相対的に花が大きく見えます。
鳥甲の急登の途中で東側に切落ちた崖の頭に出たときに素晴らしいヒメシャジンの群落がありました。決して大きなものではないのですが、花の時期がよくガスが沸き立つ崖を背景にとても絵になる光景です。こういう一瞬が登山をしている人には堪らないひと時ですね。今までの疲れが一瞬に失せてしまいます。
あわよくばガスが晴れて展望が良かったらまた一層喜びも増すのですが、この日はあいにくこの状態が最後まで続きました。
あわよくばガスが晴れて展望が良かったらまた一層喜びも増すのですが、この日はあいにくこの状態が最後まで続きました。
同行したI氏から教わりました。ミヤマヤシャブシという種で太平洋側のヤシャブシの山地形と考えられる種。葉裏の毛が多いのが特徴だとか。越後の山地にはヒメヤシャブシがごく普通にあります。私は公園に工事関係で入ってきたのかオオバヤシャブシも見ていますが、これは両種とも違うものですから、いくつかあった新しい出会いの一つになりました。いわゆるヤシャブシをしみじみ見たことはありませんから、葉の細いヒメヤシャブシと広く大きなオオバヤシャブシの間にあるこのヤシャブシにはかなり興味を持ちました。実も両種の中間くらいの大きさです。すこし、ヒメヤシャブシに大きさは近いかな?関東から中部山岳域に自生がみられるそうです。
今年は裏磐梯でたわわなヤマブドウを見つけて同行した人と味わいました。笹が峰でも食べたかな?所々で味わったヤマブドウ、熟す前の一瞬に何とも素敵な色彩を発します。ヒスイの青い色と表現したいですね。わかりきっている物事が実はあまり知らないということがままあります。この年になると、そういう視点で周りの見知ったものを見る気持ちも湧いてきてまた新たな発見をしては悦に入っているのです。自然は楽しいですね。
ブナやドングリなど山の実りが少なくてクマが里に下りてくる事態になって問題視されていますが、ヤマブドウに関しては出かけた範囲ではありますが実付きは悪くない気がしました。
ブナやドングリなど山の実りが少なくてクマが里に下りてくる事態になって問題視されていますが、ヤマブドウに関しては出かけた範囲ではありますが実付きは悪くない気がしました。
色づきが始まったツバメオモトです。紺碧の実になるのはもう少し先。今年7月にもツバメオモトは見ているのですがこの時はもちろん青い実。それよりはずっと進んではいるもののなかなかタイミングが合わず濃紺の実に出会えませんね。実はあまりおいしいものではありませんから、濃紺の果実の意味は自己流の解釈でも解答はできません。しかし、美しい蒼い色なのです。この実の色を好む方は多いのではないでしょうか。
葉は根際に広がる幅広の葉でやや肉厚。登山道沿いによく生えているので草刈りをした後など哀れな姿をしばしば目にしますが、ここ鳥甲山では登山道の草刈りは頻繁ではなさそうで、立派な葉がが見られました。そういえば花を見たことが最近ないですね。やや早い6月から7月ですから、こういう奥山に来る季節と微妙にズレてしまっています。清楚で美しい白い花ですから愛好家は多いのだそうです。
3年ぶりに見た花です。夏場、深い山に入れば必ずと言っていいほど出会える種ですが、今回はなぜか懐かしさと愛おしさでいっぱいでした。それも、私自身があまり深い山に入らなくなったことと、次第に感じている体の衰えでまもなく来れなくなるかもしれないという一抹の不安がそう感じさせるのかな?だいたい薄暗い湿った場所に群生していますからこの黄色の鮮烈さがより一層強い印象を与えます。
ゴマノハグサ科。日本海側多雪地域の種で、太平洋側の種との比較で多くの種がそうであるように大型サイズです。雪は大型にさせる特徴があるようです。その理由をどうつけましょうか?ところで、この種は花の時期しか気にならないせいで、名前の「ほうずき」のしっかりした記憶がありません。うっすらと記憶にある実は細長い形だったような・・・。解説には実がほうずきに似ているとありますが、ネットで探してもみつかりません。実のできる頃に再び山登りをして確認しないといけませんね。