永遠の僕たち
2011年/アメリカ
様々な死の位相
総合 80点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
主人公のイーノック・ブレイが自ら引く‘遺体’の検死線から始まる本作は、死に関するあらゆる要素を取り込んでいる。交通事故によりイーノックは自分自身3日間生死をさまよっている間に、同乗していた両親を亡くしてしまい、葬儀に出席することが出来なかったトラウマから、カミカゼ特攻隊員のタカハシ・ヒロシの幽霊を見るようになり、他人の葬儀でもいいから参列することで、両親の死を実感しようと試みていた。そこで偶然に出逢ったアナベル・コットンと親しくなるのであるが、彼女は脳腫瘍を患っていて余命いくばくもなかった。両親の交通事故は叔母の受賞を祝う途中で起こったために、イーノックは両親の死は叔母の受賞が原因だと考えている。ここまでの物語の流れで、病気に限らず‘命令’や‘祝い’まであらゆることが死の要因になりうることが明かされる。原爆を落とされた場所として長崎が挙げられている理由は、広島(Hiroshima)は既にヒロシ(Hiroshi)の名前から連想出来るからであろうし、さらにイーノックとヒロシが一緒に遊んでいる軍艦ゲームやハロウィンパーティーやイーノックとアナベルの‘死の演劇’なども加えられて、ついにはイーノックが幽霊であるはずのヒロシに殺されかけ、様々な死の位相が映し出される。
アナベルの葬儀に彼女の想い出を語ろうとしたイーノックの口からなかなか言葉が出て来ない。イーノックにはもはや死と生の境界線が分からなくなったからであろう。
浅田真央選手のエッセー、本人意向で発売中止に(読売新聞) - goo ニュース
比較的読書はする方だと思うが、それでも一度たりとも出版されている書籍を読んだ
ことがない出版社がある。ポプラ社はそのうちの一社なのであるが、それはもちろん
一昨年暮れの第5回ポプラ社小説大賞を齋藤智裕の『KAGEROU』に与えたという
あざとさとは関係なく、寧ろ『KAGEROU』のような“病気もの”で稼ごうというような
安易な社風が好きになれないのである。実際に、今回の浅田真央の初のエッセーである
「大丈夫、きっと明日はできる」が発売中止になった理由は、2011年12月に亡くなった
母親の死を本の宣伝に利用しようとしたポプラ社の意図を浅田に見抜かれた結果であろう。