THE GREY 凍える太陽
2012年/アメリカ
抒情を殺ぐ字幕について
総合 60点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
作業員たちを守るために石油採掘現場に現れるオオカミのハンターとして雇われていた主人公のジョン・オットウェイは妻のアナを病気で亡くしてしまい、完全に生きる気力を失っており、飛行機に乗る前には、銃を口にくわえて自殺しようとさえしていたのであるが、飛行機が墜落して、極寒のアラスカの荒野に他の6人の生存者と共に、オオカミの群れから逃れて生き延びようと南へ向かう。逃げる過程でそれぞれの家族について語られることになるのであるが、ジョンに関しては妻以外には幼い頃の父親の思い出だけである。
その父親が朗誦していた詩をジョンは心の拠り所にしていたのであるが、「もう一度闘って、最強の敵を倒せたら、その日に死んでも悔いはない、その日に死んでも悔いはない(Once more into the fray.../Into the last good fight I'll ever know./Live and die on this day.../Live and die on this day...)」という詩の訳が正しいのかどうか微妙であって、私訳を試みるならば「もう一度乱闘に加わって、それが自分が知る限りで最後の良い戦いであるならば、その日こそが自分の人生そのものである」となる。実際に、ラストでオオカミの棟梁と一人生き残ったジョンが対峙することになり、エンドロール後のワンカットでジョンとオオカミは相打ちであったことが暗示されており、詩はこのシーンを表現しているはずで、字幕翻訳は意訳のし過ぎで抒情を殺いでしまっているように思う。
同様のことはジョンの妻のアナがジョンに向かって何度も言う「Don't be afraid」にも感じることで、「恐がらないで」と訳されていることは、ジョンが置かれている立場を勘案するならば間違いではない。敢えて妻の言葉を曲解して厳しい状況に追い込まれている自分自身を鼓舞しているからである。しかし最後に点滴装置が映しだされ、アナが病気で亡くなったことが明らかになったシーンでは「心配しないで」と訳すべきであろう。それはジョンが自分自身の最期を覚悟する言葉にもなりえるからである。
驚くほど登場人物に関する情報が少なく、作画の力によってストーリー展開を試みるような本作においては、字幕によって印象が大きく変わってしまうことになる。
「おバカで結構」米共和党綱領の呆れた中身(ニューズウィーク日本版) - goo ニュース
「レイプなら妊娠せず」=共和党議員の暴言に集中砲火―米(時事通信) - goo ニュース
ニューズウィーク日本版のポール・ベガラの記事にはミネソタ州の共和党綱領について
「彼らは憲法を強く支持している。そして生命は受胎の瞬間に始まり、中絶に関しては女性を
妊娠させた男性にも女性と同等の発言権を認めるよう、憲法を改定すべきだと綱領で主張
している。女性をレイプした男にも同様の発言権を認めるべきだとは、さすがに書いていな
いが」と書かれているが、“女性をレイプした男にも同様の発言権を認めるべきだ”と書かれ
ていない理由は、ミズーリ州選出のトッド・エイキン下院議員の地元テレビのインタビューの
「医者から聞いた話では、『本物のレイプ』だった場合、女性の身体は妊娠を防ぐように
できている」という発言から分かるように、65歳にもなっていまだに非科学的なことを平気で
信奉しているからである。トッド・エイキンは下院議員6期目で、大統領選と同時に行われる
上院選にくら替え出馬するらしいから、こんな人でも長期間議員でいられるアメリカは懐が
広いと感心するしかないが、そのように説明した医者は即刻、医者に診てもらった方がいい。