原題:『Passion』
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:ブライアン・デ・パルマ/ナタリー・カーター
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
出演:レイチェル・マクアダムス/ノオミ・ラパス/カロリーネ・ヘルフルト/ライナー・ボック
2012年/ドイツ・フランス・スペイン・イギリス
「情熱」が最後まで持続しない映画監督の「パッション」
結構、その名を知られていながらもそれほど新作に期待されない映画監督として有名であるブライアン・デ・パルマによる本作は、リメイクということもあって、いわゆる「起承転」あたりまではよく出来ていたのであるが、肝心の「結」がまとめきれていないように感じる。
ラストになって主人公のクリスティーン・スタンフォードの双子の姉が出現することで、もうひと波乱あってもよかったのであるが、ダニを絞殺した後に、呼び鈴によって家のドアを開けると刑事が置いていったバラの花束を見つけたイザベル・ジェームズはエレベーターから降りてきた‘クリスティーン・スタンフォード’に首を絞められる。しかしその‘クリスティーン・スタンフォード’は血のついたスカーフを持っているのだから姉ではなくて殺された本人であろうし、その直後、ダニの死体のそばで目覚めるイザベルのシーンで終わってしまうために、現実と幻想の区別が曖昧で消化不良の感が拭えない。
さらに不可解なのはクリスティーンに家にあった「北海道らーめん」という日本語の暖簾で、何の目的でクリスティーンが所有していたのか分からないままだった。