原題:『Conan the Barbarian』
監督:ジョン・ミリアス
脚本:ジョン・ミリアス/オリヴァー・ストーン
撮影:キャロル・ティモシー・オミーラ
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー/ジェームズ・アール・ジョーンズ/マコ岩松
1982年/アメリカ
「空っぽの頭」の演出方法について
昨今の「アベンジャーズ」シリーズなどを観てしまった目で本作を観ると、ストーリーそのものは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの雛形ではあるとしても、そのヴィジュアルにおける失望は必至ではあろうが、それでも地味ながらも素晴らしい演出は記録しておく価値はあると思う。
クライマックスで、コナンがタルサ・ドゥームの首を切り落とした後に、高々と掲げたその首は明らかに作り物と分かり、放り投げた後に地面に転がる音もカラカラとプラスチックが鳴るような音を発する。それならばここの演出はミスなのかというと必ずしもそうとは言い切れない。例えば、その後に、同じ行動をなぞるように王女の前でコナンが炎を放つボウルを振り回して城へめがけて放り投げるのであるが、そのボウルは鋼がぶつかる音がするのだから、音に対する細かい配慮はあるのである。つまりタルサの頭をあからさまに「フェイク」であることを示すことによって、人々に死を美化するような教説を垂れるような男の頭は空っぽであるという皮肉を描いているのである。