原題:『Diana』
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
脚本:スティーヴン・ジェフリーズ
撮影:ライナー・クラウスマン
出演:ナオミ・ワッツ/ナヴィーン・アンドリュース/キャス・アンヴァー/ダグラス・ホッジ
2013年/イギリス
王妃と「女」の間を揺れるダイアナ
何故か映画というよりもテレビドラマを観ているような印象を受けるが、例えば、ダイアナが交際していた相手である男性に関して、ドディ・アルファイドとハスナット・カーンが混同しているような人たちにとっては興味深い話として楽しめるかもしれない。
しかし本作の評判が良くない要因としては、演出の悪さ以上に、ダイアナの恋愛における手練手管が描かれており、そのようなダイアナの「ダークサイド」をいまさら見たくないという心理が働いているようにも思える。
おそらくダイアナが心臓外科医のハスナット・カーンと出会ったきっかけは、ダイアナの父親であるエドワード・スペンサーの治療をカーンが担当したからだと思う。父親の命を救ってくれたという事実がダイアナに強烈な印象を与えたことは間違いないであろうが、カーンと付き合うために障害となる彼の一族の反対を、アルファイドとの関係をパパラッチに撮らせてカーンに嫉妬させることで克服しようとするダイアナの企みは、ダイアナの聡明さが周知の事実であるがために物語に無理があるように見える。