原題:『Nikita』
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
撮影:ティエリー・アルボガスト
出演:アンヌ・パリロー/ジャン=ユーグ・アングラード/チェッキー・カリョ
1990年/フランス
『ニキータ』と『マイ・フェア・レディ』の類似性について
リュック・ベッソンの脚本の荒さは今に始まったことではなく、既に本作からかなり荒いのであるが、要するに本作はギャングの一味で麻薬中毒の19歳の不良少女のニキータを政府の秘密警察に属するボブが「立派な」女殺し屋に成長させるというストーリーで、その物語の骨格が粗野で下品な言葉遣いの花売り娘のイライザ・ドゥーリトルを言語学者のヘンリー・ヒギンズ教授が「立派な」淑女に成長させる『マイ・フェア・レディ』(ジョージ・キューカー監督 1964年)と同じで、実際に、殺し屋になったニキータを演じているアンヌ・パリローの短髪のヘアースタイルは、淑女になったイライザを演じるオードリー・ヘプバーンとそっくりで、ニキータと恋仲になるマルコや、イライザと恋仲になるフレディ・アインスフド=ヒルの存在なども勘案すると『ニキータ』はギャング版の『マイ・フェア・レディ』と断言してもかまわないと思う。