原題:『La vie d'Adèle – Chapitres 1 et 2』 英題:『Blue Is the Warmest Colour』
監督:アブデラティフ・ケシシュ
脚本:アブデラティフ・ケシシュ/ガリア・ラクロワ
撮影:ソファニ・エル・ファニ
出演:アデル・エグザルホプロス/レア・セドゥ/ジェレミー・ラウールト
2013年/フランス
優秀な「芸術家」が取る身振りについて
過激なレズビアンの描写が話題となった本作のストーリーそのものは、そのシーンとは対照的な極めて道徳的なものである。女子高生のアデルは好意を持った先輩と性交渉を試みるものの、何故か満足できない思いを抱えていた時に、同性の同級生にふざけてキスをされた瞬間に自分が同性愛者であることに気が付く。そして街中で偶然出会った青い髪の毛をしたエマとゲイバーで再会してから2人は付き合うようになる。
しかしアデルの異性との浮気を許せないエマはアデルを家から追い出してしまう。久しぶりにレストランでエマと出会ったアデルは縒りを戻したいと願うのであるが、エマはリーズという女性と彼女が生んだ女の子と一緒に生活をしており、復縁は不可能だった。
どうしてもエマの気持ちが分からない。アデルは幼稚園の先生であり世間体を気にするのは仕方がないとしても、エマは画家であり、寧ろ多少世間離れしているくらいが良いほどの立場である。しかし実際は男女問わずに情熱のまま行動するアデルに対して、エマの方が「家庭」を築き世間体を気にしているようなのである。最後に映されるエマの個展の作品を観ても、他のどの作品よりもアデルをモデルにした作品の方が出来が良いのだから、エマはアデルを見捨てるべきではなかったはずで、だからアデルが黙って会場を後にした理由は、エマの作品を観て自身に対する自信を取り戻したからではないだろうか。