原題:『Un amour de jeunesse』
監督:ミア・ハンセン=ラヴ
脚本:ミア・ハンセン=ラヴ
撮影:ステファンヌ・フォンテーヌ
出演:ローラ・クレトン/セバスティアン・ウルゼンドフスキー/マーニュ・ハーバード・ブレック
2011年/フランス・ドイツ
コルビュジエとホックニーとフリンと
主人公の高校生のカミーユとスリヴァンは恋人同士ということであるが、例えば、カミーユが読んでいるル・コルビュジエの著書にスリヴァンが全く興味を示さないように、この恋はカミーユの片思いでしかない。だからカミーユがスリヴァンのために街角で買ってきたデイヴィッド・ホックニー(?)のカップルを描いた水彩画は雨で滲んでいるのである。
ラストを観て西条八十の「ぼくの帽子」を思い出した。この詩が実際に使われた『人間の証明』(佐藤純彌監督 1977年)よりも帽子が上手く使われたエンディングだと思う。エンディングソングの意味も分かれば理解が深まると思う。以下、ジョニー・フリン「ザ・ウォーター」の和訳。
「The Water」 Johnny Flynn & Laura Marling 日本語訳
僕には川しかない
川はいつでも僕の我が家だ
神よ、僕を連れていって欲しい
留まることは出来ないのだから
留まれば僕は身も骨も沈んでしまう
努力をしなくても水は僕を支えてくれる
水は僕を溺れさせることはできない
死ねばそれまでのこと
どうか小さなボートを組み立てるのを手伝って欲しい
僕がこの流れに乗るために
川の深いところでは
より大きな魚がはって泳いでいる
僕を漂流させてくれるものがあって僕は嬉しい
努力をしなくても水は僕を支えてくれる
水は僕を溺れさせることはできない
死ねばそれまでのこと
僕が帆走する水が深まれば深まるほど
流れは速くなってくる
夜ごと星が現れ
僕の心に流れる歌は旅人についての物語に合わされる
努力をしなくても水は僕を支えてくれる
水は僕を溺れさせることはできない
死ねばそれまでのこと
今、僕が知っていた土地は夢だった
隔たりを示す線は薄くなってきている
僕の川はとても広くなり
地平線は銀色に輝く
芸術家は塗料を使い果たした
海の青は空と混ざり合い
大きな黄色い太陽が僕を家に導く
今、僕はどこにでもいる
その方法はすぐに一呼吸ごとに起こる風に向かって誓うこと
努力をしなくても水は僕を支えてくれる
水は僕を溺れさせることはできない
死ねばそれまでのこと
Johnny Flynn and Laura Marling - The Water