原題:『喰女-クイメ-』
監督:三池崇史
脚本:山岸きくみ
撮影:北信康
出演:市川海老蔵/柴咲コウ/伊藤英明/中西美帆/マイコ/根岸季衣/勝野洋/古谷一行
2014年/日本
死んだ男が見る「妄想」の「活気」について
舞台「真四谷怪談」で、お岩役を演じる後藤美雪と、伊右衛門役を演じる長谷川浩介は、日常においても舞台と同じような状況に置かれることになるのであるが、例えば、下腹部を自ら傷つけた美雪が寝ているところへ浩介がやって来て掛布団をめくったら美雪の下腹部が血だらけだったシーンなどは『愛のコリーダ』(大島渚監督 1976年)のラストシーンを彷彿とさせ、舞台装飾やグロい演出などにはかなり工夫がみられるが、それに比べるとストーリーそのものが追い付いていないように感じる。美雪の壮絶な振る舞いを支える伏線が描かれない理由は『四谷怪談』という誰もが知っているはずの物語をベースにしているからであろうが、やはり美雪と浩介の関係を具体的に描かなければ、インパクトが弱いと思う。ラストで美雪が足で頭を転がしているシーンは面白かったが、要するに柴咲コウ頼みの作品と言っていいと思う。