MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』

2016-03-17 00:25:57 | goo映画レビュー

原題:『Finding Vivian Maier』
監督:ジョン・マルーフ/チャーリー・シスケル
脚本:ジョン・マルーフ/チャーリー・シスケル
撮影:ジョン・マルーフ
出演:ヴィヴィアン・マイヤー/ジョン・マルーフ/フィル・ドナフュー/ティム・ロス
2013年/アメリカ

社会との稀有なつながり方について

 「ヴィヴィアン・マイヤー」という名前がキャッチ―で、セルフポートレイトの肖像にもオーラを感じ、少しでも作品をプロモーションしていれば間違いなく売れていたと思われる稀有な才能が、何故作品を公表しないまま亡くなってしまったのかが本作の主題である。
 ヴィヴィアン・マイヤーは写真だけでなく、8ミリフィルムやカセットテープ、さらにはマイケル・ムーアの著書まで遺品として残しており、社会問題にもかなり関心があったように思うのであるが、一度はフランスでフィルムを提供してもらっていた知人に現像を頼んでいたりするものの、結局その話はなくなったようで、彼女は乳母(ナニー)としての人生を全うして最期を迎えることになる。
 それではヴィヴィアン・マイヤーにとって写真とは何だったのかと考えるならば、ローライフレックスという二眼レフカメラを愛用しており、被写体を直接見ることはないが、かなり接近して撮影しているところを見ると、他者、つまり社会とぎりぎりまで接近できる唯一の手段だったのではないのかと思うのである。


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