原題:『女が眠る時』 英題:『While the Women Are Sleeping』
監督:ウェイン・ワン
脚本:マイケル・レイ/シンホ・リー/砂田麻美
撮影:鍋島淳裕
出演:北野武/西島秀俊/小山田サユリ/忽那汐里/リリー・フランキー/渡辺真起子
2016年/日本
実は不確かな欲望の「所在」について
主人公の清水健二は作家としてデビューしたものの、すぐにスランプに陥り、編集者として働いている妻の綾に養われているありさまで、会社員として就職する前に伊豆のリゾートホテルに一週間のバカンスで訪れていた。
健二はそのホテルのプールサイドで遭遇した年の差カップルに魅せられてしまう。居酒屋の店主によるならば、佐原と名乗るその男は美樹と名乗る若い女性の両親の親友らしいのであるが、2人が何故一緒にホテル滞在しているのか分からなかった。気にしなければいいのであるが、夜中に美樹が健二の部屋にやって来たリ、健二が乗っているタクシーに乗り込んできたりするうちに、気にせずにはいられなくなってくる。
佐原は美樹が10歳になる頃から彼女が眠っている様子を撮影し、それを見返しては悦に浸っており、まるで佐原を真似るかのように健二は美樹に憑りつかれるのであるが、ある日を境に美樹は姿を消してしまう。美樹を失った佐原は今度は綾にちょっかいを出すようになり、綾が担当している72歳の平野という大御所作家に対する嫉妬も手伝って、健二は久しぶりに綾を抱き、その顛末を綴った小説がヒットして、子供まで授かることになった。
健二は小説家として復活したのではあるが、小説であれ子供であれ、はたしてそれは本当に健二が求めていたものであろうか。健二はただ佐原の欲望を「なぞった」だけなのだから。