3月26日にテレビ東京で放映された「美の巨人たち」は「ホッパーの最高傑作ミステリー
ナイトホークスに新説」とラテ欄に書かれてあったので、どれほどのものなのか楽しみにして
見ていたのであるが、何とエドワード・ホッパー(Edward Hopper)の『ナイトホークス(Nighthawks)』
(1942年)はフィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)の『夜のカフェ(The Night Café)』
(1888年)に影響を受けているという説だった。
しかしこのように見比べてみると、主題以外は全く似ていない。もっともこの説を唱えている
エドワード・ホッパーの伝記作者ゲール・レヴィン(Gail Levin)は、この作品に加えて
アーネスト・ヘミングウェー(Ernest Hemingway)の短編小説「殺し屋」(The Killers)や
1930年代のギャング映画にも影響を受けていると書いているのだから、そこの説明も
なければ訳が分からない。その詰めの甘さがNHKの「日曜美術館」に追いつかない原因なので
あるが、「美の巨人たち」には「日曜美術館」にはないポップさはある。だから両方兼ね備えた
番組が一刻も早くできないものなのかと待ち続けているのである。