MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『世にも奇妙な物語 精神力』

2016-03-18 23:58:10 | goo映画レビュー

原題:『世にも奇妙な物語 精神力』
監督:斉藤郁宏
脚本:本間英行
撮影:飯沼栄治
出演:竜雷太/中上雅己/金杉太朗/矢野泰二/岡本麗
1992年/日本

「精神力」のアイロニーについて

 主人公で精神塾の塾長の倉橋は高校浪人の大沢、飲酒や喫煙で高校を停学になった寺島、引きこもりの浅井の3人を引き受けて「精神鍛錬短期集中コース」を催し、10日間で精神を鍛え社会に貢献できる精神構造を立て直そうとするのであるが、実は厳しいトレーニングを課して2,3日で追い出して高額の受講料を短期間でせしめるつもりだった。
 厳しいトレーニングに関して3人に文句を言われてもいいようにあらかじめ簡易の酸素ボンベを服の中に仕込んでおいた倉橋は実際にそのままプールに飛び込んで10分以上潜水したように見せかけて自分の強靭な精神力を披露し、3人とも塾長のやり方に従うようになる。
 野外のトレーニングの最中に、倉橋は精神力と書かれた鉢巻を滝に落としてしまう。あれほど固執していた鉢巻に無関心を装う倉橋に対して3人は納得せず、追い詰められた倉橋は足を踏み外して滝に堕ちてしまう。大沢と寺島は倉橋はインチキだったとして帰ろうとするが、完全に「洗脳」されていた浅井は鉢巻を取りに敢えて滝壺に飛び込み、「精神力」で鉢巻をつかみ取り、残りの2人も滝に飛び込んでいく。
 この作品は1992年に制作されており、その後オウム真理教の一連の事件が起きたことを勘案するならば、いち早く時代の空気を捕えたものと言えるだろう。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする