国立新美術館では『草間彌生 わが永遠の魂』という展覧会が催されている。マティスやルオー
同様に草間も決して描写が上手い訳ではない。当初の暗い抽象絵画のような作風がやがて派手に
なってそのまま今日に至ったようなものである。
例えば、草間には「自己消滅(Self-Obliteration)」というタイトルの作品が複数存在する。
「Obliteration」とは「消印」という意味で、ようするに最初は自分の肖像に消印を押すことで
自分の存在を消すことを目指していたのであるが、それがやがて「水玉」と呼ばれるように
なり、生命の源泉として意味をひっくり返した点にアーティストとしての草間の力量が見られる。
気になった作品として1962年制作の「顔の集積 No.2」という作品がある。タイトル通りに
様々な人物の顔を集めたコラージュなのであるが、これはビートルズが1966年にリリースした
『リボルバー(Revolver)』のアルバムジャケットに影響をもたらしたようにも見える。