原題:『コスメティックウォーズ』
監督:鈴木浩介
脚本:清水有生
撮影:唐沢悟
出演:大政絢/渡部豪太/奥菜恵/井上正大/柊子/松本若菜/尚玄/森岡豊/高岡早紀
2017年/日本
老舗化粧品会社のPRとしての作品について
主人公の24歳の三沢茜が課される冒頭の「訓練」とその後の実際の活動のギャップに不安を感じるものの、最後まで観るならば意外とよくまとまった物語だった。
2016年2月頃に、実在する老舗の化粧品会社「株式会社アルビオン」へ産業スパイとして新入社員を装い潜入した茜は厳しい研修を乗り切って半年後には銀座三越の販売員として好成績を上げ、9月には本社の商品開発部へ異動となるのであるが、彼女の昇進は同じ使命を帯びている峰岸百合恵のサポートが大いに貢献していた。
商品開発部には研究員の45歳の中野渡千香が勤めているのであるが、中野渡はかつて研修中に茜のメイクを貶した女性だった。しかしワークホリックだった中野渡は3年前に自分で運転していた交通事故で助手席に乗っていた高校生の娘の桃子を亡くし、実は桃子は茜と瓜二つだったのである。
データだけでは再現できないものを仮に「愛」とするならば、本作は愛の物語ではあるのだろうが、全く映画としての「グルーブ」を感じることはなく、テレビドラマのような感じである。しかしテレビドラマとして観るならば一年後の最後のオチも含めて悪くはないものの、高岡早紀の存在感に大政絢が霞んでしまっている。