作家の橋本治さんが死去 「桃尻娘」、評論でも活躍
「あそこまで鋭い人はいない」爆問太田、収録中に訃報を知り橋本治さんを偲ぶ
内田樹「仏さまに喩えられる作家は橋本治さんのほかいないだろう」
「西城秀樹が死んだ。六十三歳だった - というニュースを聞いたら、朝丘夢路が死んだ、星由里子が死んだというニュースも続いて、テレビの『徹子の部屋』は追悼番組が立て続けになった。なんでこんなに人が死ぬんだろうと思ったら、平成三十年の五月は、平成が終わる『最後の一年』に突入した時期だった。今上天皇の退位はあらかじめ決まっていて、なんとなく平成は自動的に終わるもんだと思っていたけれど、人が立て続けに死んで行くニュースに接して、改めて『あ、一つの時代が終わるんだ』と思った。」(『思いつきで世界は進む』 ちくま新書 2019.2.10. p.70)と2018年7月に書いていた橋本治本人がそのような死者たちの仲間入りをすると自身が想像していただろうか? いずれにしても日本は自国の偉大な知性の一人を失ったことは間違いないのだが、それをしっかり認識している日本人が意外と少ないのが気になる。
同書に「私は知らなかったんですけど、去年の秋に来日したアメリカのトランプ大統領と日本の安倍晋三総理大臣が、二人で仲良しゴルフをした時、安倍晋三氏は素っ転んだんですってね。バンカーに入ったボールを出すために結構深いバンカーの底に下りて行って、ボールを外に打ち出したはいいけど、ご当人はバンカーから出ようとして斜面を上りかけ、砂に足を取られてバタンと素っ転んでしまった。
『そんなことあったの?』と、その話をしたウチの助手に聞いたら、『多分、ほとんどの日本人はそんなこと知らないと思う』という答えが返って来た(2018年2月)。」(p.136)
2017年11月5日の埼玉県川越市の霞ヶ関カンツリー倶楽部で行なわれた日米首脳のゴルフ外交のその映像はテレビ東京で一度流れただけで、国内でその映像をユーチューブにアップすると削除要請が入って閲覧できなくなるらしい。下の映像はイギリスのBBC放送のオフィシャルのものだから削除されないと思うよ、多分(テレビ朝日のものと比べてみるのも良いと思う)。
「へんに気取って取り繕うからいけないんだ。へんに大見得を切って、『私は後ろめたいことなんかなにもしていない! もしそんな事実があったら辞める!』なんてことを言うから、引っ込みがつかなくなって『隠蔽体質』なんてことを言われるんだ。オープンな自虐体質の方が、今はうけますけどね。」(p.139)と橋本が言うように安倍晋三にはユーモアが致命的に欠けていると思う。ユーモアは知性に宿るものだから仕方がないけれど。
字幕を和訳しておく。
「日本の首相が転ぶ」
「安倍晋三とドナルド・トランプが大統領訪日中にゴルフをした」
「テレビ東京がこの場面を流し、安倍本人だとしている。」
「彼のボールはバンカーを切り抜けたが」
「彼は必ずしも幸運ではなかった」
「トランプ大統領は彼が素っ転んだ現場を見に現れることはなかった」
Japan’s PM falls into a golf bunker - BBC News
トランプ夫妻が厳戒の日本に ゴルフ外交に銀ブラも(17/11/05)