渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで催されている「印象派の旅 海運王の夢」という
タイトルのバレル・コレクション(The Burrell Collection)でエドガー・ドガよりも目立つ
作品はギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet)の「マドモアゼル・オーブ・ドゥ・ラ・オルド
(Portrait of Mademoiselle Aube de la Holde)」(1865年)である。
保養地のトゥルーヴィル(Trouville-sur-Mer)で描かれた本作の何が目立つのかは言う
までもなく、その余りの小ささ故に逆に傘が目立つのである。女性がさしている傘は
「雨傘(parapluie)」ではなく「日傘(ombrelle)」のはずだが、見た感じでは日傘として
ほぼ役に立たないのではないだろうか。はっきり言うならば女性の顔が大きすぎるのである。
巧者であるはずのクールベがこのような「ミス」を犯すはずはなく、何らかの意図がある
と思うのだが、それが何なのかが分からない。