MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ブラック・クランズマン』

2019-05-18 22:10:22 | goo映画レビュー

原題:『BlacKkKlansman』
監督:スパイク・リー
脚本:スパイク・リー/デヴィッド・ラビノウィッツ/ケヴィン・ウィルモット/チャーリー・ワクテル
撮影:チェイス・アーヴィン
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン/アダム・ドライバー/ローラ・ハリアー/トファー・グレイス
2018年/アメリカ

白人国家主義者の「耳の悪さ」について

 エンターテインメントとしてよく出来ていると思うが、ここでは時代設定を考えてみたい。
 実話を基にした本作は1979年の出来事なのであるが、居酒屋の壁に掛けられている「Now More Than Ever」という惹句の後にリチャード・ニクソンの顔が写っているポスターがあることを勘案するならば、アメリカ合衆国大統領選挙がおこなわれた1972年になる。
 スパイク・リー監督が何故敢えて1972年に時代設定を変えたのか推測するならば、その後ニクソン大統領は1974年にウォーターゲート事件で辞任に追い込まれたからであろう。ウォーターゲート事件とは1972年の大統領選挙期間中に民主党本部で起こった盗聴侵入事件なのであるが、本作も白人になりきって電話をした黒人のロン・ストールワース刑事の声をクー・クラックス・クランの最高幹部だったデービッド・デュークが「聞き破れない」物語で、白人国家主義者が「聴き損なう」ストーリーが描かれているのである。
 珍しくエマーソン・レイク&パーマーの曲がサウンドトラックで使われていたので「ラッキー・マン」を和訳しておく。最後のヴァースに皮肉が込められている。

「Lucky Man」Emerson, Lake & Palmer 日本語訳

彼には白い馬と女性がたくさんいた
女性たちは全員サテンをまとっており
ドアのそばで待っていた
彼はなんて幸運な男なんだろう

彼女たちは白いレースと羽毛でベッドを仕立て
黄金で覆ったマットレスの上で
彼は横たわった
彼はなんて幸運な男なんだろう

彼は母国と王様のために戦争へ行った
人々は彼の名声と栄光のために歌うのだ
彼はなんて幸運な男なんだろう

一発の弾丸が彼を捉え
彼が叫んだ時には流血していた
お金で彼を救うことはできず
彼は横たわると息絶えた
彼はなんて幸運な男なんだろう

Emerson, Lake & Palmer - Lucky Man (Official Lyrics Video)

Emerson, Lake & Palmer - Lucky Man (Live)

Emerson, Lake & Palmer - Lucky Man (Live at California Jam, 6th April 1974) [Official Visualiser]


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『レゴ(R)ムービー2』

2019-05-18 00:50:46 | goo映画レビュー

原題:『The Lego Movie 2: The Second Part』
監督:マイク・ミッチェル
脚本:フィル・ロード/クリストファー・ミラー
出演:クリス・プラット/エリザベス・バンクス/ウィル・アーネット/ステファニー・ベアトリス
2019年/アメリカ

レゴで学ぶ兄弟愛について

 前作はレゴで描かれる物語と実在の物語が上手く嵌っていないと感じたが、本作は兄と妹の兄弟喧嘩の暗喩をレゴにより上手く昇華できているように思う。本作は主人公のエメットがスウィート・メイヘム将軍により連れていかれたバットマンなどの友人たちをレックス・デンジャーベストと共に救出に向かうのだが、エメットは状況の劇的な変化により、すっかりその状況を元に戻してくれるのを手伝ってくれるレックスを信用してしまう。しかしレックスが「もう一人のエメット」だとエメット自身が気がついた時、それは「我儘」だということにエメットは理解するのであり、その気付きが兄の妹に対する愛情に変わるのである。
 しかし本作の本当の見どころはエンドクレジットのふざけ具合で、冒頭でふざける作品ならば『レゴバットマン ザ・ムービー』(クリス・マッケイ監督 2017年)や『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』(高松信司監督 2010年)などがあるが、エンドクレジットでは初めてのように思う。


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