原題:『BlacKkKlansman』
監督:スパイク・リー
脚本:スパイク・リー/デヴィッド・ラビノウィッツ/ケヴィン・ウィルモット/チャーリー・ワクテル
撮影:チェイス・アーヴィン
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン/アダム・ドライバー/ローラ・ハリアー/トファー・グレイス
2018年/アメリカ
白人国家主義者の「耳の悪さ」について
エンターテインメントとしてよく出来ていると思うが、ここでは時代設定を考えてみたい。
実話を基にした本作は1979年の出来事なのであるが、居酒屋の壁に掛けられている「Now More Than Ever」という惹句の後にリチャード・ニクソンの顔が写っているポスターがあることを勘案するならば、アメリカ合衆国大統領選挙がおこなわれた1972年になる。
スパイク・リー監督が何故敢えて1972年に時代設定を変えたのか推測するならば、その後ニクソン大統領は1974年にウォーターゲート事件で辞任に追い込まれたからであろう。ウォーターゲート事件とは1972年の大統領選挙期間中に民主党本部で起こった盗聴侵入事件なのであるが、本作も白人になりきって電話をした黒人のロン・ストールワース刑事の声をクー・クラックス・クランの最高幹部だったデービッド・デュークが「聞き破れない」物語で、白人国家主義者が「聴き損なう」ストーリーが描かれているのである。
珍しくエマーソン・レイク&パーマーの曲がサウンドトラックで使われていたので「ラッキー・マン」を和訳しておく。最後のヴァースに皮肉が込められている。
「Lucky Man」Emerson, Lake & Palmer 日本語訳
彼には白い馬と女性がたくさんいた
女性たちは全員サテンをまとっており
ドアのそばで待っていた
彼はなんて幸運な男なんだろう
彼女たちは白いレースと羽毛でベッドを仕立て
黄金で覆ったマットレスの上で
彼は横たわった
彼はなんて幸運な男なんだろう
彼は母国と王様のために戦争へ行った
人々は彼の名声と栄光のために歌うのだ
彼はなんて幸運な男なんだろう
一発の弾丸が彼を捉え
彼が叫んだ時には流血していた
お金で彼を救うことはできず
彼は横たわると息絶えた
彼はなんて幸運な男なんだろう
Emerson, Lake & Palmer - Lucky Man (Official Lyrics Video)
Emerson, Lake & Palmer - Lucky Man (Live)
Emerson, Lake & Palmer - Lucky Man (Live at California Jam, 6th April 1974) [Official Visualiser]