原題:『Stan & Ollie』
監督:ジョン・S・ベアード
脚本:ジェフ・ポープ
撮影:ローリー・ローズ
出演:スティーヴ・クーガン/ジョン・C・ライリー/シャーリー・ヘンダーソン/ダニー・ヒューストン
2018年/イギリス・カナダ・アメリカ
色々と考えさせられる「年齢」について
1937年はスタン・ローレルとオリヴァー・ハーディのお笑いコンビ「ローレル&ハーディ」は人気絶頂の頃なのだが、彼らのプロデューサーであるハル・ローチと契約問題でローレルがこじれてしまう。コンビで売っていたのだが、何故かローレルとハーディは個々でローチと契約していたのである。おそらく個々で契約した方がコンビで契約するよりも安く済むというローチの考えだったのであろうが、ローレルは我慢できずに裁判沙汰になる。ところがハーディはローチと契約を続けたために2人はしばらく別々に活動することになるのは、ハーディがギャンブル好きですぐにでも現金が欲しかったかららしい。
時代は1953年に移って映画館で上映されている『凸凹火星探検(Abbott and Costello Go to Mars)』に主演している「アボットとコステロ」が人気をさらっているのだが、この2組は年齢的にはそれほど違いはない。ただ芸風を最初に作ったのはローレル&ハーディの方である。
ローレル&ハーディが舞台で披露した「ハードボイルド・エッグとナッツ」の話を補足しておくと、右足を吊って入院しているハーディの病室にローレルが訪ねて来るのだが、ローレルがハンフリー・ボガートを気取って「ハードボイルド風」にやって来ることと、「ナッツ(nuts)」には「狂った」という意味があるから面白みが増すのである。このようなローレルの繊細なネタにバスター・キートンは感服したのである。
エンドクレジットでローレル&ハーディのその後が短く紹介されている。ハーディは1957年、65歳で、ローレルは1965年、74歳で亡くなっているのだが、驚くのは彼らのプロデューサーだったハル・ローチでローチは1992年、100歳まで長寿を保ったのである。