MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『僕たちのラストステージ』

2019-05-19 12:57:29 | goo映画レビュー

原題:『Stan & Ollie』
監督:ジョン・S・ベアード
脚本:ジェフ・ポープ
撮影:ローリー・ローズ
出演:スティーヴ・クーガン/ジョン・C・ライリー/シャーリー・ヘンダーソン/ダニー・ヒューストン
2018年/イギリス・カナダ・アメリカ

色々と考えさせられる「年齢」について

 1937年はスタン・ローレルとオリヴァー・ハーディのお笑いコンビ「ローレル&ハーディ」は人気絶頂の頃なのだが、彼らのプロデューサーであるハル・ローチと契約問題でローレルがこじれてしまう。コンビで売っていたのだが、何故かローレルとハーディは個々でローチと契約していたのである。おそらく個々で契約した方がコンビで契約するよりも安く済むというローチの考えだったのであろうが、ローレルは我慢できずに裁判沙汰になる。ところがハーディはローチと契約を続けたために2人はしばらく別々に活動することになるのは、ハーディがギャンブル好きですぐにでも現金が欲しかったかららしい。
 時代は1953年に移って映画館で上映されている『凸凹火星探検(Abbott and Costello Go to Mars)』に主演している「アボットとコステロ」が人気をさらっているのだが、この2組は年齢的にはそれほど違いはない。ただ芸風を最初に作ったのはローレル&ハーディの方である。
 ローレル&ハーディが舞台で披露した「ハードボイルド・エッグとナッツ」の話を補足しておくと、右足を吊って入院しているハーディの病室にローレルが訪ねて来るのだが、ローレルがハンフリー・ボガートを気取って「ハードボイルド風」にやって来ることと、「ナッツ(nuts)」には「狂った」という意味があるから面白みが増すのである。このようなローレルの繊細なネタにバスター・キートンは感服したのである。
 エンドクレジットでローレル&ハーディのその後が短く紹介されている。ハーディは1957年、65歳で、ローレルは1965年、74歳で亡くなっているのだが、驚くのは彼らのプロデューサーだったハル・ローチでローチは1992年、100歳まで長寿を保ったのである。


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『ビリーブ 未来への大逆転』

2019-05-19 00:59:15 | goo映画レビュー

原題:『On the Basis of Sex』
監督:ミミ・レダー
脚本:ダニエル・スティープルマン
撮影:マイケル・グレイディ
出演:フェリシティ・ジョーンズ/アーミー・ハマー/ジャスティン・セロー/キャシー・ベイツ
2018年/アメリカ

「女性化」した夫の功績について

 本作はアメリカ合衆国最高裁判事となったルース・ベイダー・ギンズバーグの弁護士時代に経験した実話を基にしている。『ブラック・クランズマン』(スパイク・リー監督 2018年)が人種差別の問題を扱っているのに対して、本作は男女差別の問題が問われている。
 ルースはコロンビア大学でトップで卒業したにも関わらず、法律事務所に所属することができず、ラトガース大学ロースクールで教員として働くことになる。そのような中で夫のマーティンがルースに持ち込んだ案件が興味深い。働きながら母親を介護するために、介護士を雇いたかったのだが、未婚の男性であるという理由でその分の所得控除が受けられない状態だったチャールズ・モリッツという男性の案件だった。もしも女性の案件であるならばフェミニズムの問題、つまり女性の社会的地位向上の問題にすり替わっていたかもしれないのだが、男性の案件を通じて男女差別を争点にできたところは幸運といっていいと思う。
 もう一つ興味深いのはルースの夫のマーティンが精巣腫瘍を患ったということである。これはもちろん偶然ではあるが、マーティンの「女性化」が結果的にルースの法律家としてのキャリアを築き上げたのである。


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