MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『世界で一番美しい少年』

2022-03-25 00:45:55 | goo映画レビュー

原題:『The Most Beautiful Boy in the World』
監督:クリスティーナ・リンドストロム/クリスティアン・ペトリ
撮影:エリック・ヴァルステン
出演:ビョルン・アンドレセン/池田理代子/酒井政利/沢渡朔
2021年/スウェーデン

「世界で一番美しい少年」とメディアの関係について

 『ベニスに死す』(ルキノ・ヴィスコンティ監督 1971年)で一躍時の人となったビョルン・アンドレセンのドキュメンタリー映画で、ルキノ・ヴィスコンティに認められセンセーショナルな世界デビューを果たせたものの、一年くらい経って「大人」になったことで3年契約をしていたヴィスコンティの作品に出演することなく見放された後は、ほぼ同性愛者で構成されたヴィスコンティの撮影チームに弄ばれたようだが、詳細は語られていない。『ベニスに死す』において主人公で作曲家のグスタフ・アシェンバッハは決して美少年のタジオ・モールズに手を出さない。手を出すと「美」が汚れてしまうからなのだが、そういう意味ではヴィスコンティの行動は正反対と言える。
 ビョルンは1月生まれで、彼の妹が同じ年の12月生まれで父親が違うらしく、つまり母親はそれほどボヘミアンだったのであるが、ビョルンの幼い頃を「スーパー8」で撮られた映像が残されており、貧乏だったわけではなさそうである。しかしビョルンを育てた祖母がいわゆる「ステージママ」のような感じで、お金優先で、孫の性被害に対して関心がなかったようである。
 ビョルンの日本における人気も大変だったようで、写真家の沢渡朔は久しぶりに再会したビョルンに当時気をかけてあげられなかったことを謝罪していたが、音楽プロデューサーの酒井政利はただただ彼の美しさを称賛していた。酒井にはその手の噂があるから仕方がないが。
 撮影当時60歳を少し過ぎたくらいの彼の生活は、ガス栓を開けたまま外出したとして同じアパートの住人たちから苦情を受けており、確かに室内もキーボードなどの音楽機材の周囲は汚れているのだが、現在交際している若いガールフレンドの尽力もあって辛うじて立ち退きは回避できた。ところがこのドキュメンタリーの撮影のために久しぶりに日本を訪問する際に、そのガールフレンドも同行させたのであるが、日本に滞在中ガールフレンドはほったらかしていたらしく、さらにガールフレンドは自分に暗証番号を教えてくれないという理由で、最後は電話で「ブタ野郎」と罵られて別れてしまうのである。メディアと関わるとロクなことが起こらない「世界で一番哀れな男」になっていたのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/fashionpress/trend/fashionpress-79685


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