原題:『Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings』
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
脚本: デスティン・ダニエル・クレットン/デヴィッド・キャラハム
撮影:ビル・ポープ
出演:シム・リウ/トニー・レオン/オークワフィナ/メンガー・チャン/ミシェル・ヨー
2021年/アメリカ
男性を堕落させる「超能力」の魅惑について
『ブラック・ウィドウ』(ケイト・ショートランド監督 2021年)の流れから「父親」の存在意義を考えるのは有益なのかもしれない。
装着することで超能力と不老不死の体になれる「テン・リングス」を手に入れたシュー・ウェンウーは魔術師が住む伝説の村として知られている「ター・ロー」において村の守護者であるイン・リーと戦ったことを縁に結ばれ生まれたのが主人公のシャン・チーと妹のシャーリンで、敵方のギャングにインを殺されたシューはその心の隙を「闇の魔物」に衝かれてしまい、シューを暗殺者として育成することになるところは『ブラック・ウィドウ』のストーリーとリンクするのだが、父親のシューは性根が悪い訳ではない。
実際にクライマックスにおいてはシューはシャンの身代わりに「闇の魔物」の犠牲になるからで、ラストにおいてシャンから「テン・リングス」の解体を頼まれたシャーリンが「テン・リングス」を解体することなく父親と同じ過ちを犯そうとするところなどは、「父親」や「男性」の問題ではなく、男性たちが得やすい「超能力」の問題ではないかと思えてくるのである。
ニキの「エヴリ・サマータイム」を和訳しておきたい。
「Every Summertime」 NIKI 日本語訳
18歳で私たちは大学生だった
遅くまで外で遊んでいて
授業に間に合ったことがなかった
サンフランシスコのアウター・リッチモンドをタクシーで過ごして
私の父親に会いに行く途中で冷や汗をかいていたあなたは
「僕たちはとんとん拍子に行き過ぎている気がするんだけれど」と言った
モクレンの花が一瞬笑ったように見えた時
あなたがしばらくそばにいて欲しいという思いに
私が囚われたことは間違いないのよ
あなたの心の中を旅行できるのならば
何でも私は諦めるつもりなの
毎年夏が来るたびに私はまた恋に落ちる
私の父親は私に賢明に相手を選べと教えてくれたけれど
あなたはそんなことをする必要はないのよ
だって毎年夏になると私は恋に落ちるのだから
25歳になると私たちは教会に通わなくなっていて
職場にいる私たちが嫌いな人々全員のことで大笑いしていた
あなたのお姉さんと一緒に夕食を取った時に
あの冗談は空気を悪くした
帰宅中に泣いていると
あなたは何よりも私のことを第一に考えてくれて
あなたはいつも何を言うべきなのか分かっているのね
私たちは広い並木道をぶらぶら歩きながら
街灯の下で踊っている
毎年私たちは年を重ね
いまだに私はあなたのそばにいる
あなたの心の中を旅行できるのならば
何でも私は諦めるつもりなの
毎年夏が来るたびに私はまた恋に落ちる
私の父親は私に賢明に相手を選べと教えてくれたけれど
あなたはそんなことをする必要はないのよ
だって毎年夏になると私は恋に落ちるのだから
毎日が夏
毎日が夏
毎日があなたと一緒にいられる夏なのよ
NIKI - Every Summertime | Marvel Studios' Shang-Chi and The Legend of The Ten Rings
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-90950