原題:『違国日記』
監督:瀬田なつき
脚本:瀬田なつき
撮影:四宮秀俊
出演:新垣結衣/早瀬憩/夏帆/瀬戸康史/小宮山莉渚/中村優子/伊礼姫奈/滝澤エリカ/染谷将太/銀粉蝶
2024年/日本
姉妹が疎遠の原因について
『PARKS パークス』(2017年)、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(2020年)と佳作が続いた瀬田なつき監督の新作を楽しみに待っていた甲斐があって観に行った。悪い作品ではないと思うのだが、物足りなさを感じた理由は、どのエピソードもどこかで聞いたようなもので、本作がはたして、35歳の見知りな女性小説家である高代槙生でなければ、あるいは不慮の事故で亡くなった、彼女の姉の実里の娘である15歳の田汲朝でなければ描けない物語だろうかと思ったのである。
その物足りなさとは槙生と姉が不仲であった原因がよく分からないからであろうが、全く分からないわけではなく、いつまでも小説など書いていないで現実と向き合えと自分の仕事を否定されたことを槙生は恨んでいるようではある。しかし朝を自ら引き取って育てられるくらいなのだから、槙生が金銭面で困窮している様子もなく、寧ろ小説家としてはマンションに住んで良い生活をしている方なのだから、20代の頃ならまだしも、35歳で食べていけているのならば姉がいつまでも妹の人生を否定していたとは思えないのである。そのような点がぼやかされているためにストーリーに力を感じないのである。だから朝のみならず槙生に対しても姉が手紙が残していればもう少し分かりやすくなったと思うのである。