MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『陽だまりの彼女』

2013-10-13 22:25:51 | goo映画レビュー

原題:『陽だまりの彼女』
監督:三木孝浩
脚本:菅野友恵/向井康介
撮影:板倉陽子
出演:松本潤/上野樹里/玉山鉄二/大倉孝二/谷村美月/菅田将暉/夏木マリ
2013年/日本

上野樹里の「明るさ」について

 事前に何も情報を得ることなく本作は観られるべきであろうから、レビューとしては主人公の渡来真緒の愛聴盤が1966年にリリースされたザ・ビーチ・ボーイズの傑作アルバム『‘ペット’・サウンズ』ということだけは指摘しておきたい。
 『幸福のスイッチ』(安田真奈監督 2006年)や『奈緒子』(古厩智之監督 2008年)などを観て気になることは主人公を演じている上野樹里の「暗さ」であるが、それは役柄という以上に上野がもともと備えている資質のように感じる。だから上野がどのようにして明るいキャラクターを演じることが出来るのかという問題は陰ながら存在していて、『キラー・ヴァージンロード』(岸谷五朗監督 2009年)のようなコメディーはその点でもチャレンジだったと思う。個人的には既に書いたように失敗作だとは思わないが、やはり上野の明るさの引き出しに成功した作品は『のだめカンタービレ 最終楽章』(武内英樹監督/川村泰祐監督 2009年/2010年)であろう。それは上野が明るくなったという意味ではなく、誤解を恐れずに言うならば、上野が演じた野田恵が、一度聴いた曲は楽譜無しでも弾きこなしてしまうという「サヴァン症候群」のような症状を見せるからである。その通常のコミュニケーションの困難さを克服しようとする身振りが上野の「暗さ」を「明るさ」に変えているように見えるのであり、それは本作にも当てはまると思われる。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

性欲だけの芥川賞作家

2013-10-13 19:22:51 | Weblog

芥川賞作家・西村賢太氏、東野幸治から「最低の作家」(デイリースポーツ) - goo ニュース

 2~3ヶ月くらい前だったと思うが、芥川賞作家の西村賢太がフジテレビの『新報道2001』に

確か「将来の結婚像」のようなテーマでゲスト出演していた。ワタナベエンターテインメントに

所属していることもありコメンテーターとして呼ばれたのだと思うが、予想通りに他のパネリスト

と意見が全く噛み合っていなかった。西村は自分のことしか考えていない男で、いくら芥川賞を

獲っていても結婚に関して意見を求めることが無理な話で、西村の作品を一冊でも読めば

女性を殴ることにそれほど抵抗が無いことは分かると思うのであるが、番組プロデューサーが

本を読んでいないことは明らかだった。テレビにおいてはせめて他のパネリストたちと意見を

戦わせ、議論を深められる“一般論”を語れる人が出演しなければ意味が無いと思う。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ブルー 初めての空へ』

2013-10-12 22:55:22 | goo映画レビュー

原題:『Rio』
監督:カルロス・サルダーニャ
脚本:ドン・リマー/ジョシュア・スターニン/ジェフリー・ヴェンティミリア/サム・ハーパー
撮影:レナート・ファルカン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ/アン・ハサウェイ/レスリー・マン/ロドリゴ・サントロ
2011年/アメリカ

「2D」の「物語」から「3D」の「現実」へ

 主人公のブルーはリオデジャネイロで生まれたコンゴウインコであるが、雛のときに捕えられ、アメリカへ搬送される途中で、トラックの荷台から落ちてしまい、そこを偶然通りかかった少女のリンダ・グンダーソンに拾われて、一緒に暮らすことになる。それから15年が経ち、本屋を営んでいるリンダと相変わらず一緒に暮らしているのであるが、室内で飼われているためにブルーは飛ぶことができないインコになっていた。
 そんな時に、リンダの店に現れたのが鳥類学者のブラジル人であるチュリオ・モンテイロだった。ブルーが貴重な品種の雄鳥であることを見抜いたチュリオは種の保存のため研究所にいる雌鳥のジュエルとブルーを会わせたいとリンダに懇願し、ブルーの故郷であるリオデジャネイロを訪れることになる。
 飛べないブルーが手錠でジュエルとつながれることで起きる悲喜劇がやがてブルーの飛翔への布石となる定番のストーリー展開も悪くはないが、本屋を営み、「物語」の中だけで生きていたリンダがチュリオに誘われて故郷を離れることで「現実」を生きることになり、ついにはフェルナンドも加えて鳥類保護所を設立するというサブストーリーも見逃せないであろうから、そのサブストーリーを活かすために本作は華やかなフェスティバルなどがよりリアルに感じられる3Dで上映されるべきだったと思う。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

強烈なカフェインの作り方

2013-10-12 00:00:25 | Weblog

ASKAの事務所に「週刊文春」が反論 食い違う両者の主張(デイリースポーツ) - goo ニュース
週刊文春がASKA事務所に反論(日刊スポーツ) - goo ニュース

 ASKAの所属事務所「ロックダムアーティスツ」が10日、公式HPで、9日発売の週刊文春に

掲載されているインタビュー記事について、「本人が承諾したものではない」などと発表して

いるのだが、いくら個人的に話をしたとしても、相手が週刊文春の記者ということは分かって

いるのだから、記事にするなということが土台無理な話なのであり、責めるならば週刊文春

ではなく、“クスリ”がまだ体に残っていたために冷静な判断が出来なかったかもしれない

ASKAの方であろう。ところで飛鳥涼が使用していた「アンナカ」とは劇薬指定の興奮剤の

安息香酸ナトリウムカフェインで、要するに強烈なカフェインだと思うが、目覚ましに劇薬を

使用するくらいならば、コーヒー豆を細かく砕いて大量に摂取すれば済むだけだと思うのは

もちろん「アンナカ」なるものを服用したことがない者の戯言ではあるのだけれど。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『トランス』

2013-10-11 23:08:40 | goo映画レビュー

原題:『Trance』
監督:ダニー・ボイル
脚本:ジョー・アヒアナ/ジョン・ホッジ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
出演:ジェームズ・マカヴォイ/ロザリオ・ドーソン/ヴァンサン・カッセル
2013年/イギリス

「トランス」出来ない程大きすぎる代償について

 本作はゴヤの傑作「魔女たちの飛翔(Vuelo de brujas/Witches' Flight)」を巡って起こる窃盗事件をテーマにしたものである。主人公のサイモン・ニュートンとフランクを首謀者としたネイトとリズとドミニクの窃盗団と催眠療法士のエリザベス・ラムを合わせれば、「魔女たちの飛翔」で描かれている人物と同じ人数になる。
 ストーリーを勘案するならば、白いマントを被っている人物がサイモンであり、耳を塞いでいる人物がフランクとなり、抱えられている人物が実はエリザベスで、‘魔女’のつもりが実は操られている人物たちが残りのギャングのメンバーと邪推は出来る。
 このような巧妙なストーリーの書き換えは悪くはないものの、どうしても納得出来ない展開は、フランクが乗っていたクルマもろとも焼却してしまおうとするサイモンを止めるために、エリザベスがクルマで突っ込んで行き、フランクの乗っていたクルマとサイモンは海に投げ出されるのであるが、次のシーンはフランクがプールの水面から顔を上げるところで、どうやらサイモンは死んだことになっている。しかしサイモンと再会した際に涙を流していたエリザベスが、サイモンの命を犠牲にしてまでゴヤの絵画を奪おうと試みる心情が異常に見えてしまい、そんなに悪い女だったのかと後味の悪さが残るのである。確かにゴヤの絵画も不気味なのだからエリザベスのキャラクターと一致しているとも言えなくもないのであるが、演出において上手く処理しきれていないように感じる。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍晋三首相の悪癖

2013-10-11 21:34:23 | Weblog

沖合からセシウム 首相発言の信用性失う 福島第1(河北新報) - goo ニュース
「水銀被害を克服」と首相メッセージ 患者からは批判(朝日新聞) - goo ニュース
水俣病「過去の問題でない」=安倍首相の克服発言釈明―菅官房長官(時事通信) - goo ニュース

 東京電力が10日、福島第1原発の約1キロ沖の海水から放射性セシウム137が1リットル

当たり1.4ベクレル検出されたと発表したことで、9月にアルゼンチン・ブエノスアイレスで

行われた国際オリンピック委員会(IOC)総会の五輪招致プレゼンテーションで、福島第1原発

の汚染水問題に関して「港湾内0.3平方キロの範囲内で完全にブロックされている」と述べた

安倍晋三首相の発言の信用性が失われた。安倍晋三首相は9日にも、水俣市で開幕した

水俣条約採択のための外交会議に寄せたビデオメッセージで、「水銀による被害と、その克服

を経た我々だからこそ、世界から水銀の被害を無くすため先頭に立って力を尽くす責任がある」

と述べ、いまだに「克服」出来ていない水俣病患者らから顰蹙を買っている。目の前にある

問題を見ないようにする安倍首相の悪い癖は長期的に見れば日本をダメにするであろう。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『パッション』

2013-10-10 22:36:57 | goo映画レビュー

原題:『Passion』
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:ブライアン・デ・パルマ/ナタリー・カーター
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
出演:レイチェル・マクアダムス/ノオミ・ラパス/カロリーネ・ヘルフルト/ライナー・ボック
2012年/ドイツ・フランス・スペイン・イギリス

「情熱」が最後まで持続しない映画監督の「パッション」

 結構、その名を知られていながらもそれほど新作に期待されない映画監督として有名であるブライアン・デ・パルマによる本作は、リメイクということもあって、いわゆる「起承転」あたりまではよく出来ていたのであるが、肝心の「結」がまとめきれていないように感じる。
 ラストになって主人公のクリスティーン・スタンフォードの双子の姉が出現することで、もうひと波乱あってもよかったのであるが、ダニを絞殺した後に、呼び鈴によって家のドアを開けると刑事が置いていったバラの花束を見つけたイザベル・ジェームズはエレベーターから降りてきた‘クリスティーン・スタンフォード’に首を絞められる。しかしその‘クリスティーン・スタンフォード’は血のついたスカーフを持っているのだから姉ではなくて殺された本人であろうし、その直後、ダニの死体のそばで目覚めるイザベルのシーンで終わってしまうために、現実と幻想の区別が曖昧で消化不良の感が拭えない。
 さらに不可解なのはクリスティーンに家にあった「北海道らーめん」という日本語の暖簾で、何の目的でクリスティーンが所有していたのか分からないままだった。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“犯罪者顔”は存在するのか

2013-10-10 18:15:50 | Weblog

高3女子刺殺 「自宅に侵入し待ち伏せ」容疑者、帰宅直後の鈴木さん襲う(産経新聞) - goo ニュース
三鷹女子高生殺害 「フェイスブックで知り合う」容疑者は京都在住、数日前にナイフ購入(産経新聞) - goo ニュース
着信拒否後も「別れたつもりない」容疑者、母に(読売新聞) - goo ニュース

 何故あれほど美人で社交性もある女子高生がわざわざフェイスブックで知り合った男と交際

するようになったのか分からないが、アメリカへ短期留学経験もあるくらいだから、旺盛な

好奇心が却ってあだとなったのかもしれない。大人でも難しいのではあるが、まだ人を見極め

きれない間は幼なじみのような交際範囲に限定しておくことが得策だと思う。ところで三鷹署

から護送される池永チャールストーマスは特別に悪びれることもなく、顔を上げてクルマに

乗り込む姿を見て、以前どこかで見たような光景だと考えていたら、窃盗容疑の処分保留で

釈放された、みのもんたの次男で日本テレビ社員の御法川雄斗に似ていて、犯罪の種類は

違うものの、“犯罪者顔”というものが存在するのかと思った次第である。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『許されざる者』

2013-10-09 22:29:47 | goo映画レビュー

原題:『許されざる者』
監督:李相日
脚本:李相日
撮影:笠松則通
出演:渡辺謙/柄本明/柳楽優弥/忽那汐里/小池栄子/國村隼/佐藤浩市
2013年/日本

2人の「許されざる者たち」の比較考察 

 『許されざる者』(クリント・イーストウッド監督 1992年)のリメイクであることは言うまでもないのであるが、本作は余りにもクリント・イーストウッド作品を深刻に受け止めすぎていると思う。
 そもそもかつて列車強盗や保安官殺しで名を馳せたオリジナルの主人公であるウィリアム・マニーというキャラクターが、女子供さえ殺すことも厭わないはずなのに娼婦のデライラ・フィッツジェラルドの顔を傷つけたというだけの理由で、もちろん2人の子供たちのために$1000の賞金目当てではあるものの、出かける前に空き缶に目掛けて拳銃を撃ってみたが一発も当たらず、白馬に乗ることだけでも一苦労してしまう状態で犯人である2人のカウボーイを殺しに行くというプロット自体に無理があるはずなのである。ところが保安官のリトル・ビルに見つかり半殺しの目に遭ったマニーは3日の間、生死の境を彷徨うが何とか生き延びて、クイック・マイクを殺した時にも、相手のライフルの乱射で白煙が垂れこめる中、辛うじて逃げ切ることが出来るのであるが、一緒に行ったネッド・ローガンは帰郷途中でリトル・ビルたちに呆気なく見つかり撲殺される。ローガンの仇を取るためにマニーはウイスキーを飲んで、スキニーの酒場へ乗り込み、次々と撃ち殺していく。現場にいた作家のW・W・ボーシャンプに「もしも何人ものガンマンに囲まれたら一番腕の良い相手から殺すのが定石だから最初に保安官を撃ったのでしょう」と問われたマニーは「そういうものか?」と答え、自分には決まった戦い方がないことを打ち明け、自分のことを棚に上げて「女たちに怪我をさせるようなことは2度とするな。今度やったらひとり残らずぶっ殺してやるぞ」と捨て台詞を残して去っていく。
 このように相手を殺す方法論も持ち合わせておらず、酒を飲むことで却って銃の実力を発揮するなどウィリアム・マニーは場当たり的でありながら殺し屋として‘一流’である理由があるとするならばマニーはただ恐ろしく運が良いだけで、実はヒーローというものは存在しないということを明るみにしたからこそオリジナルは「最後の西部劇」と呼ばれたはずなのである。このようにオリジナルの『許されざる者』の面白さはシリアスでありながらふざけているところで、残念ながら本作にはそのような‘軽さ’が無いために終始重苦しい感じに包まれたままなのである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自分はワルだと自慢したがる気質

2013-10-09 00:09:27 | Weblog

「しまむら」店員に土下座強要=写真投稿も、容疑の女逮捕―北海道警(時事通信) - goo ニュース
「王将」で全裸写真、男性客2人逮捕 公然わいせつ容疑(朝日新聞) - goo ニュース

 介護職員の青木万利子は9月3日午後6時ごろ、「ファッションセンターしまむら苗穂店」で、

30代女性店員に「タオルケットに穴が開いていた。返品のため費やした交通費と時間を返せ」

などとクレームをつけて土下座させた上、自宅に来て謝罪するよう念書を書かせたということで

強要容疑で逮捕された。しかしそのタオルケットは高級品ではなく、980円の商品なのだから

そんなに怒ることではなく、札幌市白石区菊水元町10条の青木の自宅から「しまむら苗穂店」

までの距離は1キロもなく徒歩で行けるのだから交通費もかからない。これでは青木は単に

クレームをつけたかっただけの愉快犯でしかなく、同情の余地はない。一方、「餃子の王将」

金沢片町店で男性客グループが全裸になり、写真をインターネットに投稿した問題で威力業務

妨害と公然猥褻の疑いで逮捕されたボーイズバーの経営者の榎本忠司と店長の高田勇一

は「店の許可を得ていた」と容疑を否認しているが、当初は店のカレンダー作りで撮影された

画像を榎本の指示でわざわざ写真をフェイスブックに投稿して、騒ぎになってしまっている。

一昔前であるならば、秘密裏に行われていたことが、犯人自ら証拠を公開することで墓穴を

掘るという不思議な事態に至っている。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする